暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
局長は姿を見せぬまま街の裏を台頭する組織について語る
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。
――組織の局長ってどんな人なんだろう。いかにもヤクザって感じかもなあ……。
これから顔を合わす事になる人物の顔を空想の中で思い浮かべて嘆息する。もしかしたら怖すぎて声が出せなくなってしまうかもしれない。ケンジはなるべく平常心で行こうと深く息を吐いた。
10月の冷たい風が口内を乾かせて、逆に話しづらい状態になる。さらに風は制服の奥にまで進入し、背筋がゾクッとする。しかし、背筋が強張るのはそれだけが理由でない事は分かっていた。
――ここにいるメンバーが、みんな殺し屋……。
左右には夕方に顔を合わせた八幡と宮条がいるが、少し声のボリュームを上げないと会話が通じない程だ。
そんな広大な場所に、見知らぬ人間達が円を描いて向き合っている。もちろんケンジや八幡もその輪を繋げる一部となってその場で立っている状態だ。それが何の意味を成しているのか、ケンジには理解出来なかった。
――仲間意識なのかな。こういう世界は裏切りが多そうだし。
そうやって勝手に解釈するのが限界だった。ケンジは周りと目が合うのが怖くて、足元の革靴を見つめる。そうしていると隣にいた宮条が円の中心に放り込むように言葉を口にした。
「報告があります。今回チームAに新人が入りました。名前は暁ケンジ。私立山垣学園の生徒で、『殺し屋の電話番号』の被害者です」
彼女が言い終えると同時に一人の男が手を挙げた。「大河内さん」と宮条が名前を述べると、大河内と呼ばれた青年がケンジに向かって声をかけた。
「暁君に質問があるんだけれど、いいかな?」
その声は殺し屋と思えぬほどに柔らかく、男とは考えられないほどに透き通っていた。確かに声は男のものなのだが、まるで聞き間違いを許さないように凛としていて耳に優しい。顔は遠くて識別しづらかったが、きっとルックスも良いのだろう。
「えと、はい。どうぞ」
何と返せばいいか分からず、たじたじになりながら顔の見えない青年に言葉を返した。すると彼は少しの間を置いてから質問してきた。
「八幡君から聞いただろうけど、僕たちは殺し屋だ。やる事はいちいち血生臭いし、精神的に壊れる可能性は十分に高い。それでも君は復讐のために戦うのかい?」
「……はい。僕はもう決めたんです。だから、ここにいるんです」
そう言ってから、ちょっと挑発的だったかと反省する。相手の態度次第では謝るつもりだった。しかし彼は「ハハッ」と笑ってからこう言ってみせた。
「君は凄いね。どこまで頑張れるか、見せてもらおうかな」
「はぁ」
またもや予測を変えられた。殺し屋といっても根本は一般人と変わらないのだろうか。ケンジは気の抜けた声でそう返した。
「誰か、彼に異存のある者は」
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