暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
暁ケンジは己のエゴのために裏世界への一歩を踏み出した
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ったとしか思えないのだけれど」
宮条と呼ばれた女が嘆息しながら八幡に嫌味を吐き捨てる。隣にいた金髪男も、態度こそ違えど八幡を指摘する言葉を投げかけた。
「そうっすよ八幡さん。俺まだ19だけど、事情が違うっしょ。そこの学生さん、山垣の制服着てるって気付かなかったんすか?」
かなり砕けた喋り方だ。それでもリーダーと呼ばれた八幡に対して一応敬語のようなものを使っているらしい。が、その男はニコニコしながら数秒前とは異なった答えを紡ぎ出した。
「でも、彼がこの世界に入りたいってんなら俺は歓迎するぜ。じっくり裏世界の歩き方教えてやっからさ」
ケンジは彼の笑顔が少しずつ残忍な色を帯びていくのを感じた。途端に敬語を使わなくなったのも、どこか狂気的に思えてしまう。
そんな彼の言葉を聞いて、八幡は顎に人差し指を乗せるポーズをする。そして数秒のラグの末、ケンジに向かってこう言った。
「君の名前は?」
「え?えっと、暁ケンジです」
「そうか。暁君、君は本当に復讐のために人を殺める事が出来るか?」
「……それは」
「人は簡単に死ぬ。私達はそれを知っている。そして君もまた、私達と同類となる」
「……!」
「頭の中で理解していても、本心はとても素直なものだ、人間というのは」
そう言って八幡は一歩ずつ歩き出し、さらに二人の男女まで距離を詰めた。そしてケンジの方に振り向いて、淡々と言葉を吐き出した。
「もう一度聞こう。君は、復讐という利益も価値も意味もない事の為に、銃の引き金を引けるか?」
「……」
「だんまりは良くないな」
「……ない」
「ん?」
「意味がないなんて事はない!」
そのときケンジは自分でも驚くぐらいに大きな声を出していた。普段そこまで大きい声を出さないので、本当に自分のものなのか訝しく思えてしまうほどだった。気付けば腹の奥が熱くなって、続いて全身にまで熱が浸透してきていた。
一方の八幡は突然大声を上げたケンジに動揺する素振りも見せず、続きを促した。
「ほう。なら、その答えを聞かせてもらおうか」
「それは……」
正直、先程の八幡の言葉はケンジにとって許せなかった。何故ならそれは自分がここにいる事を完全に否定しており、同時に幼馴染の死を軽々しく扱っていたからであり――
――でも、そんな事を言って彼らが納得してくれるのだろうか?
ケンジは目の前にいる人間達の職業を思い返す。殺し屋。人からの殺人依頼を引き受けて、対象を感情問わず殺す非道な連中だ。『死』に対してドライであろう彼らとでは、復讐の価値が異なる可能性が高い。
だからこそ、自分の考えに納得してもらえるかが不
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