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横浜事変-the mixing black&white-
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私立山垣学園 体育館
普段は陽射しが差し込み、体育の授業や朝礼などで使われるこの場所も、今は荘厳な雰囲気に包まれている。漆黒のカーテンで外の光を遮断し、入り口も全て閉じられ、閉鎖空間を見事に生み出していた。
ステージは斎場のように供花が用意されており、中心には幼馴染の額入り写真が置かれている。校長は先程から悔やみの言葉を機械的に並べ立て、生徒や教師の前で悔恨の涙を流していた。それが本物の涙なのかは定かではない。
一方、整然と並べられた椅子に座る生徒達の態度はとても告別式に対するそれとは思えない程に酷かった。小さい声で雑談する者を始め、こっそり携帯を弄っている者や漫画を読んでいる者、挙句の果てには寝ている者までいた。しかし今が式の最中であるため、教師もなかなか注意するために立ち上がる事が出来ず、注意の視線を向けるだけだった。無論、そんな威力の弱い注意が生徒に届く筈も無く、彼らに変化は訪れぬまま追悼式は進んでいく。
そんな中、生徒全体で一際重苦しい雰囲気を醸し出している区画があった。彼女が所属するクラスだ。誰もが沈痛な顔を浮かべながら式を茫然と見ている。中には堪え切れずに泣いている女子までいた。
だが、そんな集団の中で一番彼女の死を受け入れられずにいる生徒が一人。その人物はいつも彼女の横を歩いていて、迷惑そうな顔をしているにも関わらず楽しそうだった。中背中肉のしょうゆ顔という標準的なステータスの少年。
彼――暁ケンジは虚ろな目をしながら、自身の膝を見ていた。紺色の制服で覆われた膝はどこをどう見ても紺色だった。それがケンジには少しだけ悲しく思えた。どこまでも同じ色が続いている世界に何の面白味があるというのか。普段はそんな哲学的な事を考えたりもしないのに、とケンジは魂の抜けた息を吐いた。
***
学生が歩くには補導も近いような時間帯。『殺し屋の電話番号』を掛けた幼馴染は帰り道に殺された。最初、隣にいたケンジには彼女が転んだようにしか見えなかった。しかし彼女の手を取ろうとしたところで背中に二本のナイフが突き刺さっている事に気付き、狼狽えながらも救急車に連絡を取った。その時にはすでに出血多量で瀕死だったかもしれない。
救急車に乗って病院に向かい、すぐに彼女の手術が始まった。彼女が首に巻いていたマフラーを胸に抱き、妙に寒々しい廊下で待ち続けて数時間――彼女の死亡が確認された。ナイフは予想以上に奥まで突き刺さっていたようで、内部の出血が尋常ではなかったらしい。
医者にどれだけ言われても、ケンジにはそれが嘘にしか思えなかった。だって、さっきまで笑ってたじゃないか。さっきまであんなにニコニコしてたじゃないか。しかし現実はどこまでも悪辣だ。
「起こってしまったものは、もう変えられない。私達は魔法
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