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横浜事変-the mixing black&white-
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の存在。それが今、自分の目の前にいる。
とはいえ、その前から危険な匂いがしていたためか、ケンジは自分が考えていた以上に驚かなかった。それよりも男が口にした『復讐』の方が気になった。
心の中に浮かび上がった一つの案。彼女の敵討ち。犯人は分かっていない。あまりにも利益の無い考えに自分の中ではボツにしたつもりだった。これからは彼女の分まで生きようと決意したつもりだった。それなのに。
「……どうして貴方は、僕の考えが読めたんですか?」
気付いた時には、殺し屋にそんな質問を投げかけていた。すると青年はナイフをペーパーに巻く作業をしながら、ごく自然な調子で答えた。
「どうしてって、君の目は人を殺す目をしているからだよ」
「えっ……?」
「鏡を見てみればいい。今の君の目は、殺し屋さながらの冷酷さを持ち合わせている」
「っ!」
まさか、そんな筈がない。あいにく鏡を持ち合わせていなかったので、その場で確認する事は出来なかった。けれど確認するまでもない。自分が殺し屋と同じ目をしている?そんなわけがない。人を殺すだなんて言語道断だ。
そんなケンジの考えを踏み潰すように、眼前の殺し屋はまだ言葉を紡ぎ出す。
「君に何があったのかは知らない。だが、大事な人を失ったようだね」
「そんな……事まで」
「半分は勘。半分は経験だよ。でも、これだけは確実だ。君は、いつか犯人を殺す。例え私が君を裏の住人として迎え入れなくてもね」
「……それはないです。僕なんかが一人で、どうやって犯人を見つけ出すっていうんですか」
「確かに。でも、一つ考えてみてくれ」
そこで一拍置くと、美青年は口角を僅かに上げ、ゆっくりと呟いた。
「仲間がいる、としたら。犯人は早く捕まるんじゃないのかい?」
「仲間?」
「君の大事な人はもしかして『殺し屋の電話番号』を体験したね?」
「……はい」
「だろうと思った。なら話は早い」
そう言うと殺し屋は胸ポケットから名刺を取り出した。それを受け取ったケンジは、思わず拍子抜けしてしまった。そこには、
職業 殺し屋 所属 殺し屋統括情報局
チームA 八幡玲汰
と書かれていた。
どういう反応をすればよいのか分からず、殺し屋の方に目をやる。すると彼は執事のように恭しくお辞儀し、最後にこう言い放ってから路地裏から去って行った。
「殺し屋統括情報局所属、八幡玲汰。我々は、犯人に復讐心を燃やす君を歓迎するよ」
*****
街は常に悠然と回り続ける。その枠の中で暮らす人達を乗せて、毎日をのんびり過ごす。
けれど、せっかく乗せている人の一部が暴れたりしたら、街はどういう反応を起こすのだ
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