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横浜事変-the mixing black&white-
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使いなんかじゃないんだ」
彼女を助けるために動いた医者は、いつまでも現実を見ようとしないケンジを見て最後にそう言った。
***
夜 ケンジの部屋
幼馴染の追悼式は滞りなく終了した。とはいえ、大半の生徒達からしてみれば授業が潰れた事にしか意味を成さなかったようで、彼女に対する哀悼の意は全く感じられなかった。
ケンジは式が終わってすぐに学校を早退した。これ以上この場所に居続けるのが億劫に感じたのだ。担任に伝えたところ、こちらの事情を察してか、優しい声で「ゆっくりしろよ」と声をかけた。
家に着いてからは自室に入り、布団を被って目を瞑った。けれど意識は微睡みの中に落ちる事無く居座り続けていた。まるで彼女が生きている夢を想像させるのを阻止しているかのように。
それから数時間。すでに陽は沈み、部屋は彼の心の中のようにどんよりとしている。窓から差し込む街灯の光で何とか支えられているような状態だ。
扉の向こうから母親の声が聞こえてきた。夕飯の支度が出来たらしい。ケンジは重い身体を持ち上げてドアノブを回す。そして母親にコンビニに行ってくると伝え、外に出た。
10月の中旬にもなると陽が落ちるのも早く、寒風が制服越しに感じ取れる。彼はおぼろげな足取りで駅の方へと向かって行った。
無意識で動いているわけではないが、彼の行動はまるで一貫性がなかった。何かに引き寄せられているように足は慣性で動いていく。
そうして彼が辿り着いたのは、一日前に彼女と一緒にいた場所。駅の大通りから一本抜けただけで人の通行が少なる道に隣接する公園。そこの入口に近いベンチに座り、ケンジは公園を眺めていた。
「……」
ただただ無言に彼は見ていた。昨日、自分と彼女が座っていたベンチを。今はもう存在しない彼女の幻影を。
「……うっ」
気付けばケンジは視界を曖昧にしていた。頬に感じる涙の行方を手で拭って消していく。しかし目からは次々と涙が溢れ、どうにもならなくなっていた。
「なんで、さあ……」
まるでこれまで溜めていた分を吐き出すように、彼は自身の揺らいだ声を公園に浸透させていく。
「元気、だったじゃん。僕を、困らせてたじゃん。それなのに、それなのにさぁ……おかしいよ、そんなの……」
泣くのは反則だと思っていた。ここで泣けば彼女の死を認めてしまう事になると思っていた。けれど、そんなやせ我慢を張ったところで、最後にはあの時の言葉が記憶の中から飛び出すのだ。
『起こってしまったものは、もう変えられない』
全く持ってその通りだった。どれだけ現実逃避しても『今』という瞬間は留まる事を知らない。だからこそ彼女を最後まで生かそうと尽くしてくれた医者は、自分にあのような言
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