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横浜事変-the mixing black&white-
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メだぞ?」と心配されたりして、我ながら情けなく思った。
けれど、ケンジにとって殺し屋の存在有無などはどうでも良い事だった。彼は単に彼女自身が心配なのだ。幼い子供のように突っ走る幼馴染の歯止めになりたい。合気道を何年か習っていたが、別段身体が強靭なわけではない。むしろ平均より痩せていて、本当に相手を鎮圧出来るか不安なぐらいだ。
それでも、彼は彼女のために尽くしたかった。良い顔をしたいなどという下心があるわけではない。ただ、ケンジは彼女の毎日を壊されたくないだけなのだ。
自分のためではなく、それでいて自分の意思で。
「じゃ、ちょっと電話してみるね!」
ハッと我に返ると、彼女はニコニコしながら右手に持つ紙切れに書いてある番号を携帯に打っていく。まずい、と判断したケンジは
咄嗟
(
とっさ
)
に彼女の手を掴もうとした。しかし彼女はそれをスルリと躱し、自慢げな顔を浮かべながら携帯の画面を見せてきた。
「なっ……」
彼女の携帯はすでに発信中の画面を映していた。ベンチから立ち上がってケンジから隙間を作った彼女に、彼は慌てて声を上げる。
「ちょっと!それヤバそうだから止めた方が良いって!」
「まだビビってるの?ネットの書き込みにもあったじゃん。掛けても来ないってさ」
「確かにそうだけどさ、ワンパターンとは限らないだろ?」
「ケンジもしかして、殺し屋信じてるの?……っと、繋がった」
最後の言葉にケンジは声を失った。繋がった。すなわち殺し屋が幼馴染と会話しているのだ。茫然と立ち尽くす彼の視界に、普段と変わりない笑顔を浮かべる幼馴染の顔だけが映る。
「……はい、はい。……そうです。殺してほしい人がいるんですけど」
物騒な単語を吐き出しながらも、彼女は余裕の面持ちで手順をクリアしていく。そこでケンジは自分の膝がガクガク震えている事に気付いた。
それから数十秒後、白いマフラーを首に巻いた幼馴染は通話を終わらせ、いつの間にかベンチに腰を付いていたケンジに近付いてきた。
「終わったよ」
「終わったよって……どうして君はそんなに強いの?何かコツとかあるの?」
ずっと楽しそうにしている彼女を見て、呆れ混じりにケンジは聞いてみた。だがそれは、本音からの質問であった。
何故電話を掛けた本人がケロッとしていて、様子を見ていた自分がこんなにも怯えているのか。自分は弱虫だという自覚はあるが、だとしても彼女の対応は不気味なほどに自然すぎた。もし秘訣のようなものがあるなら聞いてみたいと思っていたら、それが口から漏れてしまったのだ。
すると「うーん」と唸ってから彼女は言った。
「簡単だよ。自分は強いって思えばいいの」
「自分は、強い?」
「そ
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