第三話
[7/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ような事はせずに、追い出すように放り出すものと思っていたのだけれど?
怪訝に思った俺はドクターに聞き返した。
「ドクターにしては珍しく歯切れが悪いですね」
「ああ。どうにもこちらの言葉が通じないらしく、意志の伝達が難しい」
「は?言葉を喋れないのですか?」
「いや、喋れないのではなく、あの子供の言っている言葉が私には理解できないのだよ。今もこうやって彼女が発した言葉からどうにか法則性を見つけようとメモした言葉とにらめっこさ」
さすがドクター。
未知の言語に好奇心を刺激されたらしい。
「奥の部屋に居るから会ってみると良い」
促された俺は、それに従い奥の部屋に通じるドアを開ける。
ガチャ
中に入ると寝台の隅で体育座りでうずくまっている少女を見つける。
「こんにちわ」
俺は取り合えず少女に向って挨拶をする。
しかし少女はこちらに顔を向けて俺を確認するように見つめるだけで、何の返答もない。
「そうか、言葉が通じないんだったな」
だが、おかしいな。
俺は彼女を街中で保護したはず。
それにハルケギニアでの公用語は一種類しか無いので、未知の言語なんて物があるはずも無いのだが…
「あー、困ったな。君はいったいどこから来たんだい?」
俺はそう言って少女に近づく。
すると。
『いや!こっちに来ないで!』
俺が何をするために近づいて来るのかが解らず少女は恐怖を感じたのだろう。少女は拒絶の言葉を発した。
「怖がらないでも何もしやしない。これ以上近づかないから、ね?」
そう俺は安心させるように言う。
立ち止まった俺から発せられた言葉を聞いて少女が答える。
『ごめんなさい。私、貴方が何ていっているのか解らないの…』
「解らないか………ん?」
ちょっと待て、俺は彼女の言葉を理解しているぞ?
まてまて、俺はアホか?
彼女はずっと日本語で話していただけではないか。
って、日本語!?
『日本人?』
『え?』
俺の発したその言葉に少女が反応する。
『君は日本人なのか?』
俺は今度は日本語で語りかける。
ハルケギニアに来て初めて使った日本語。
ちゃんと発音出来ていただろうか。
『貴方は?』
まさか日本語で話しかけられるとは思わなかったのだろう。
少し驚きながら問い返してきた。
『ああ、自己紹介が未だだったね。俺はアイオリア・ド・オラン。君は?』
『神前穹(かんざきそら)』
そう日本語で返した少女。
しかし、彼女の容姿は俺と同じ金髪。
このハルケギニアでは珍しくはない容姿をしてはいるが、日本人の容姿とはかけ離れている。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ