第三話
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たな。それを移植すれば失明は免れるだろうが、両目を失ったわけではあるまいし、このままでも良いのではないか?」
ドクターの発言に俺は一瞬カッとなってしまった頭を冷やして考える。
確かに両目を喪失したわけでは無い。
中世ヨーロッパのような世界のハルケギニアだ、事故や紛争などで体の一部を失っている人を見かけることもある。
だけど、やはり俺は根本的な所で平和ボケした日本人なのだろう。
体を失うと言う事に耐えられそうに無い。
「それでその子の右目が光を失わずに済むなら」
これは単に俺のエゴだ。
「そうか。解った」
そう言ってドクターは準備に入る。
ドクターに任せておけばこの少女は助かるだろう。
性格はともあれ、能力はずば抜けて高いバグキャラだ。
「後は頼んだ」
俺はそう言い残して古屋を後にした。
古屋を出た俺は一目散にド・オランの屋敷に飛んでいった。
屋敷に着くと、街と同様、煙を上げている屋敷。
俺はそれを見るや否やすぐさま地上に降り立った。
屋敷の中庭に降り立たって辺りを確認すると屋敷邸宅の被害はそれほどでもないが、門辺りの被害が大きい。
いったい何が起きたと言うのだろう。
俺は門へ向かって走っていった。
門に着くと、辺りは爆弾を落としたような穴が幾つも開いており、その所々にトロールの死体が散らばっている。
見渡すと門から離れた片隅に執事やメイドによる人垣が出来ていた。
俺はそれに近づいて声をかける。
「何があったの?」
「坊ちゃま!?」
メイドの一人俺の声に気づき振り返ると、人垣が一斉に此方を向き各々に俺を呼び人垣が割れた。
割れた人垣の先に見えてきたのはその身をおびただしく血の赤で染め上げられた姿で地面に寝かされている両親の姿だった。
「父上!?母上!?」
俺は走りより声をかける。
しかし既に事切れているのは明白で、返事が返ってくるわけもなかった。
「坊ちゃま…」
俺は血で汚れるのも構わずに母の腕を握り執事に問うた。
「いったい何があった?」
その問いにしばらく沈黙のあと、とつとつと執事は語り出した。
俺が何時ものように屋敷を抜け出してからしばらくした後に、街にいきなりトロールの集団が現れ街を破壊し始めた事。
それを鎮圧するためにすぐさま兵士達に呼びかけ、魔法使い数人を伴いトロール殲滅へ派遣した。
しかし、それを見越したかのように屋敷の方にも複数のトロールが現れた。
屋敷には既に父、母以外の魔法使いは出払っていて、執事達を守るために母と一緒に門の辺りで迎え撃ちあらかた殲滅はしたものの、最後数匹にてこずり、精神力が切れた母がついに足を取ら
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