第三話
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ール。
暫くして魔法の発動を終え、トロールを確認すると未だその場で立ち往生しているトロール。
「マズイな、今のでごっそり精神力を消費したし、これで倒れてくれないと…」
今の規模での魔法をもう一度放てと言われても精神力が足りなくて恐らく発動しないだろう。
此処に来る前にハイになって魔法を乱射していたのが悔やまれる。
ドォォォォン
重そうな音を立てて地面に倒れ落ちるトロール。
「やった…のか?」
『そのようですね』
「そうか」
俺は初めて知性ある生き物を殺してしまったと言う罪悪感に囚われ立ちすくんでいると、ソルから声をかけられた。
『それより、あの子供はどうするのですか?』
「そうだった」
それを聞いた俺はすぐさま少女に駆け寄り、容態を確認する。
「うっ…」
確認した少女の容態は芳しくなかった。
全身打撲にすり傷。
一番酷いのは右目。
石つぶてに当てられたか眼球から血を流している。
これはもしかすると失明は免れないかもしれない。
そうでなくても全身打撲により今にも命の火が消えそうだ。
俺は辺りを確認する。
どうやらこの辺りには既に人の姿はなく、誰の手も借りられない上にこの混乱では真っ当な治療はかなわないだろう。
魔法による治療も考えたが、俺は風の系統であり、治療魔法の本分は水の系統であるため、ここまで大怪我となると今の俺ではどうしようもない。
俺がどうしようか考えていると、ルナから声がかけられた。
『ドクターの所にお連れしたらどうです?』
なるほど!その手があったか。
未だ街をこのようにした原因は分からないが、魔力切れ一歩手前の俺に出来る事など既にあるはずも無く、俺は少女を抱えて飛び上がり、急ぎドクターの古屋へ急ぐのだった。
ドクターの古屋に着くと俺は扉をお構い無しに荒々しく開け放つ。
「どうしたんだ?そんなに慌てて」
俺が抱えている物が見えているはずなのに質問してくるドクター。
「この子の治療を頼む」
そう言って俺は少女を寝台の上に横たえた。
「何が在ったのか、理由は後で尋ねる事にして、私も子供が死ぬのは忍びない。治療は引き受けよう」
ドクターはすぐさま寝台の方へと駆け寄り少女の診察を始めた。
「全身打撲に擦り傷、一番酷いのは右目の怪我だな」
「治る?」
「水の秘薬を用いれば、打撲と擦り傷は後も残らず癒えるだろう。だがこの右目だけは別だ」
「治らない?」
「水の秘薬を使っても失明は免れんだろうな」
「何とかならない?」
未だ6歳位の少女。
出来れば右眼も治してやりたいが…
「ふむ、確か悪魔の瞳が片方残ってい
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