暁 〜小説投稿サイト〜
バカとテストと白銀(ぎん)の姫君
第一章 小問集合(order a la carte)
第5.5話 二人の翳
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
きなチキンだからな。」
そこで言い終えるとこちらの様子を試すような視線が投げかけられる。
今なら試召戦争で僕が薄々感じていた疑問に答えてくれるだろうか。
「坂本君、あなたは何故戦争を始めたのですか?いえ、あなたはAクラスに何か因縁でもあるのですか?」
「何故そう思うんだ。」
反射的に返答してしまい、思わずしまったと強ばらせた顔に固まった。
が、すぐさま取り繕い先ほどまでの僕を試そうとする表情に直した。
先ほどの反応から鑑みるに、もしもの時にどう煙に巻くのかあらかじめ用意していたのだろう。そうでもなければ反射的には答えられないだろう。
つまり、彼は周到に前々から戦争を仕掛けることを考えていて、何らかの要因から計画を前倒ししたのではないだろうか。
例えば、僕や姫路さんといった成績の良い奴がFクラスにこぼれてきたことだとか。
「坂本君の言動からそのように拝察致しました。」
「……そうか。それで、お前は俺が理由を話せば引き受けるのか。」
「いいえ。どちらにせよ、坂本君。私はそのような大任を背負えません。私は自分の行動で他人様に迷惑をかけるのは嫌なのです。」
そう答えると坂本はため息をついた。
「妃宮、言っちゃ悪いが、おまえは周りとの関係がどん底まで落ちて前の学校を辞めたんじゃないか?」
どくりと心臓が跳ねた。背中を冷や汗が滑り落ちる。
「さ、坂本君は私が・・・・」
だめだ、収拾がつかないほど心が揺らめいているのが分かる。
「自分の前にたまたま開かれたグループにさえ積極的に溶け込もうとしているのは自分の居場所を確保するため。ただでさえ丁寧な言葉遣いの姫路よりも遜った敬語を使っているのは言葉で相手と距離を取るため。最後に何時も笑顔を張り付けているのは自分の感情を相手に悟らせないため。違うか。」
「くっ……」
このままでは女装のこともばれてしまうかもしれない。
下手なことを言って墓穴を掘らないよう慎重に言葉を返す。
「確かに私は少々猫を被っているかもしれません。しかしそれは編入してきた生徒であれば誰でもする事ではありませんか?」
「確かにそうだな。だがお前のそれは失敗したからこそ、石橋を叩くように周りの空気に合わせているのだろう?女子校だと孤立すれば即アウトのようなことを聞いたこともあるが。」
どうも坂本は僕のことを女として見ているようだ、今自分が隠さなければならない事でないなら認めてもいいだろう。
それに相手の言葉は何か実感のようなものを持っている。
「お見事です、そうです、ね。確かに私は前の学校では共通の話題も持っていませんでしたし、友達づきあいも言い方だとは決して言えませんでした。だから、この学校では同じ轍を踏まないようにと……」
何故かそこまでしか言えなかった。
気持ちがぐちゃぐちゃになっていた。
言葉が続
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ