二十二章
武田家軍議
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人になることで結んで間もない未来の夫を敵国にかっさらわれた挙げ句、その敵国で祝言でやがりますからなぁ」
「越後国主とか関東管領とか関係なく、怒るよね・・・・・」
「その通りでございます。恐らくこれは、美空様の気性的な所が大きいかと」
「相変わらずの気まぐれですか。・・・・気まぐれで攻められるこちらの身にもなって欲しいです」
「・・・・・・・」
「そして、向こうにとって幸いな事がさらに二点」
詩乃の視線をちらりと受けて、その言葉を継いだのは雫であった。
「まず一点目は、相手が何度も兵をまみえた武田勢であったこと。本来であれば、この手の作戦を行うには甲斐国府、躑躅ヶ崎館まで攻め寄せる必要がありますが・・・・」
「・・・・なるほど。この流れで行けば、我々は今までと同じく川中島に向かう他にない。釣り出されたようで面白くはないが・・・・」
「れも、行かないわけにはいかないのら!」
「その通りです。・・・・さらに二点目は、標的である一真様が、前線に自ら行くという事をお持ちの事」
「なるほど。川中島に一真様が出陣しなければ、越後勢は目標のない川中島に顔を出すだけになる・・・・」
「そんなの、勝ったも同然だぜ!」
「全力で迎え撃って、懲らしめてやるれすよ!」
「・・・・・・・」
気勢を上げる粉雪たちではあったが、光璃はその様子を見ても先程と同じように目を閉じている。
「姉上?」
「・・・・一真の話は、まだ途中」
「うむ。向こうの利に、良人殿が自ら前線に行くということは・・・・」
「はい。この前提を踏まえた上で、一真隊と一真様直属部隊から提案する策ですが・・・・。一真様を最前線に出します」
「はぁぁ!?意味が分かんないのら!」
「相手の狙いが旦那って分かってるのに、なんで旦那を出すんだぜ?」
「俺が美空を説得する」
「・・・・停戦を狙うとおっしゃるか?」
「用兵の法は、国を全うする上と為し、国を破るは之に次ぐ・・・・という事だ」
国の損害を出さずに勝つのがベストマッチ。戦って破るのは、その次という意味。詩乃やこの時代に合せて言ってみただけだし、台本に書いてある事をそのまま言ってみたけどな。
「なんれいきなり孫子なのら?」
「諸君も分かってはいるが、武田は今一番する事は、駿河の鬼退治なんだろ?」
「でやがります。身内の恥を雪いで、甲斐の民の不安を取り除くのが一番でやがりますよ」
「確かに今の甲斐に長尾の相手をしている暇はない。長尾との戦で損害を出すのは確かに下の下だな。・・・・故に孫子を持ち出したか?」
「それだけではない」
「ほぅ」
「・・・・俺は、長尾にも損害を出したくない」
「
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