二十二章
武田家軍議
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えつつ走れば、不可能ではないでやがりますよ」
「・・・・なるほど。理解はした」
「狼煙の報を受けた時点で、既に国人衆は兵の収集を始めております。後は必要な数と出陣の知らせを待つのみ」
「苦労」
流石と言いたいところだけど、こちらとしては当たり前ではあるな。まあこの時代だと武田軍団は凄いと聞こえるけど、動きが早いのは狼煙や騎馬軍団だけではないということ。まあこちらは1分1秒で分かるけど。やはり書状は越後に届いていないのは分かっていた。あちらに鞠がいることも。
「以降の動きはどうでやがります?」
「海津城の一徳斎殿からも詳細の報告があったんだぜ。越後勢は飯山街道を南下、飯山城に兵を集結させつつ、戦の準備を整えてるそうだぜ」
飯山城・・・・長尾(上杉)方の、対武田の前線基地。室町時代に建てられ、その後は持ち主が転々としていた。
「・・・・飯山なら、行き先は決まりなのら」
飯山から千曲川を遡れば、川中島だな。長尾勢が川中島を攻める時にいつも使うところだと。こりゃ川中島を目指しているのは間違いないな。船からも同じような報告が来たし、兵もすでに休ませているから大丈夫だ。
「今回の長尾の侵攻、腑に落ちない点が幾つか見受けられます」
「・・・・続けて」
「一徳斎殿は、越後に忍んでいた吾妻衆の報告も合せて送って下さいましたが・・・・どうも今回の長尾勢は、いつもほどの準備もなく春日山を発ったようなのです」
「あの戦巧者がでやがりますか?」
「慢心して勝てる相手って思われているなら簡単だぜ。そんな相手じゃないって、徹底的に教え込んでやるだけなんだぜ!」
「だが、罠という可能性もある」
「・・・・その可能性は高いですね」
「お屋形様はろうお考えれす?」
「・・・・・・・」
兎々の問いに、光璃は瞳を閉じ、黙ったままだ。しばらく沈黙が続いたあと光璃はその瞳をゆっくりと開けた。
「・・・・一真」
「ん?」
「どう見る・・・・・?」
「俺達もそうだが、状況を理解している詩乃達の発言許可をもらいたい」
「構わない」
「ありがとよ。・・・・ということで詩乃、頼む」
「はっ。では・・・・」
俺は光璃の許可をもらったのでそう言ったら立ち上がった詩乃が、軍議に参加している者たちを見回しながら言葉を続ける。
「そも今回の越後勢の拙速としか取れぬ出陣、その目的は十九八九、一真様の身柄の確保が狙いかと考えます」
「ほぅ。良人殿が目当てか、越後の龍は」
「どういう事だぜ・・・・?ここは分かるんだぜ?」
「まあ・・・・何となくは」
「うぅぅ・・・・ずるいんだぜぇ・・・・」
「まあ、当然といえば当然でやがりますな。恋
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