二十二章
下山城×長尾勢行軍中
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「行っちゃったか。それより典厩様。今日は光璃様の良人殿の妾殿と、このような辺境にどのようなご用件で?」
「兄上が二人に挨拶をしやがりたいそうですが、代わりに兄上の妻が」
「ほほぅ」
「ふぇぇ・・・・?」
「そちらには正体は見抜かれてませんと思いますが、こちらは見抜いておりましたよ。それに改めて挨拶がしたいと言ったのは本当です。あ、挨拶が遅れましたが私の名前は沙紀と申します。隊長、織斑一真の妻の一人でここでいうなら側室です」
「側室!こちらでは全然掴んでいない情報だよ」
「それはそうでやがる。普段は上空にある船にいると言うでやがるから」
「船?今日は聞き慣れない言葉が多いねぇ。側室にドウターに織斑一真の正体も」
「一二三も名乗るでやがる」
「そうですな。我が名は武藤喜兵衛一二三。下山城代を務めておりまする。気安く一二三とお呼びくだされ。そしてこちらが・・・・」
「山本勘助湖衣晴幸、と申します」
「で、こちらが・・・・」
「ええと、本多平八郎殿と、榊原小平太殿ですね。春日山での見事な手際、拝見させていただきました」
「・・・・それも知ってるです?」
「私の手際というと、空様をお助けした時の?」
「はい。その後の春日山攻めの撤収の見極めも」
「それは・・・・ありがとうございます」
「一二三だけではなくて、湖衣も来ていた事は知っていました」
「は、はぁぁ・・・・」
春日山攻めや歌夜が本隊側に戻った所も知っているとは。ですが、こちらの情報は一切なさそうですね。
「して、良人殿の側室は我らの顔を見たいという事は、早速、新しい愛妾候補でも見に来たのですかな?」
「いえ。単に下山にいる者はどういう者たちかというので、見てきただけです」
「それで一真様は気になったわけですか。それより一真様は?」
「もう少ししたらこちらに戻ってくるということです。今回は長期戦だったので」
「そういえば、一真様が行ったときは昨夜でしたね。お疲れですね」
「そういうことです」
それに武藤喜兵衛って確か真田昌幸だったはずですね。武藤家の養子と聞いていましたし。山本勘助については不明なところが多いですが、松葉が言ってた通り甲斐の片目とはこの事だったのですね。
「なんですかな。私の事をじっと見て」
「いえ。武藤喜兵衛という名前をどこかで聞いた覚えがありましてね。あとはそちらの湖衣とは仲が良さそうで」
「なるほど。湖衣とは付き合いが長いからね。・・・・それにしても典厩様。此度の急なお越し、新たなお屋形様のお披露目というだけではないのでしょう?」
「相変わらず聡い奴でやがりますなー」
「聡くなければ生きて行けなかったのが我が
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