DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第十四話
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までは。
《白亜宮》に最初に乗り込んだとき。《ディスティニー・イクス・アギオンス・フォーアルファ》を名乗る少女の手によって、ハクガは何度も切り裂かれ、敗北した。その時に味わった謎の乖離間。
今ならわかる。あれは、ハクガの《魂》が、ハクナの《魄》から切り離されることの暗示だったのだ。事実、ログアウトしたその時、ハクガは五年ぶりになる自らの肉体で目を覚ました。最初は体がうまく動かせずに混乱したが、今ではきちんと改善している。
小波が以前、《白亜宮》の思惑通りにことが進んでいるかもしれない、と、悔しそうにつぶやいたことがあった。《主》は何もかもを、自分の思い通りに動かす力がある、と。
推測するに、かつて日本の鈴ヶ原にたびたび訪れた、あの精霊系自在師は、《白亜宮》の関係者だったのではないだろうか。あの人物が何者だったのか、いまだに全く分からない。だが、可能性は否定してはいけない。
そもそも自らの願いを現象世界に流出させる《自在式》などという技術が、この世界に平然と存在していられるわけがない。魔術と似て非なるあの技は、もしかしなくても《白亜宮》と何らかの関係がある、と睨んでいいだろう。
「もしかしたら、ここで再会することになるのかも知れませんね」
ハクガは微かな予感とともに呟いた。
「……? どうしましたか? ハクガ」
「いえ、何でもありません」
隣を歩くハクアの怪訝にしかめられた顔を苦笑で流し、ハクガは再び警戒を強める。
ここは《白亜宮》の内部。侵入した直後に、セモンたちとははぐれてしまった。幸いなことに、妹のハクナ、師匠のハクアとははぐれずにすんだので、ハクガは彼女らと共に《白亜宮》の探索を進めている。
それにしても、本当に『白』しかない場所だ。視界に映る全てのものが純白に染まっている。それはプラスチックの様でもあり、同時に大理石の質感があるようにも思え、あるいはもっと別の何かのような気もした。少なくとも、現実世界では似たような素材を見たことはないように思う。つまりは、この場所独自の素材。
真っ白なだけのこの場所では、一続きなだけなのであろう通路でも、距離感が狂って方向感覚を見失いかねない。《迷宮》、という言葉が、ふとハクガの脳裏をかすめた。
迷宮とは、元来出口のない一本道のことを言うらしい。つまりはメビウスの輪である。中を通る人間は、延々と同じ場所を通るだけ――――
逃れられない。出られない。ずっとずっと、閉じ込められたまま。
不吉な暗示。ハクガは首を振ってその不安を打ち消す。恐怖に負けていてはどうにもならない。この先《白亜宮》のメンバーと戦うことになれば、そこに付け込まれる可能性も捨てきれないのだ。
とにかく、これを考えるのはやめよ
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