二十二章
甲斐案内
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も気になるでやがりますし、行くでやがりますか。けど、沙紀さんや兄上は本当に大丈夫でやがりますか?確か妾殿が二人」
「ああ。大丈夫と思いますよ。それに小波さんに繋げばいいと思いますし。小波さん、出てきて下さい」
「お側に」
「おお・・・・本当にいるでやがりますな」
「隊長が船に来たあとに指示を出したと言っていました。小波さん」
「委細承知しております。下山に行かれるのですね」
「そういうことです。まあ隊長が行く前に用件は言ってありますから大丈夫だと思いますが、帰りは明日になると伝えて下さい」
それにドウターを排除したり鬼退治に行ったあとはあまり心配はしていない様子ではありましたけど。
「承知致しました。先ほどの二つの川の治水の件はどう致しましょう?」
「そうですね。ならそれも合わせて伝えておいてください。明日の・・・・」
「躑躅ヶ崎館に帰り着くのは、夕方頃になりやがりましょうな」
「・・・・だそうです」
「はっ。・・・・では、あの・・・・」
「はい?」
「(句伝無量で伝えない方が宜しいですか?)」
小波さんが何かを言いたそうだったのは、心の声が響いてきました。それと私や桜花と結衣はよく一真隊の皆さんとは仲がいいですし、派遣されるとしたらいつもこの三人の中なので、小波さんのお守り袋をもらっていたのですよ。
「(はい。急ぎではありませんので。ゆっくりで構いません)」
それにまだ武田にはこの事を言っていませんから。それに我々の通信機とかですけど。今更隠すような相手ではありませんが、詩乃さんたちが怪しまれるのだけは避けたいと隊長も言っていましたし。句伝無量については一真隊が揃ってから言うと思いますし。
「ん?何か言いたい事があるでやがりますか?」
「いえ、その・・・・。道中お気を付けくださいませ」
「小波さんもですよ」
「はっ!」
そう言って、小波さんの姿は私たちの前から消えましたね。
「・・・・小波は良い草でやがりますな」
「隊長の代わりに言いますと、草、ではなく。気が利く隊長の妾の一人ですよ」
「草、と呼ぶとだめでやがります?」
「小波は、自分を草だと言い聞かせて抑えようとする所がありますから・・・・。出来れば、名前で呼んであげていただけると」
「ふむ。分かりやがりました。なら、次に会ったときには名前で呼びやがりましょう」
こくんと頷くと、ゆっくりと歩き始めた夕霧は、小波、小波とリズムに乗せて練習するように、その名を口に出していますが。その様子を見ると本当にどこにでもいる女の子という感じですね。癖のある喋り方も、慣れてしまえば別にどうって事もなさそうですし。
「おーい、沙紀さん。急がないと、下
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