二十二章
甲斐案内
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「それで、次はどこに行くですか?」
「・・・・・・・・」
綾那さんがそう聞いた瞬間、ニコニコしていた夕霧の表情がどこか引きつったように見えました。
「もう帰りますか?」
先程の堤防の件が気になるんでしょうか。それだったら気になるから帰りたいと言うと思いますし・・・・どこか遠慮している感じですね。
「いや、さすがにそれはせっかく出たので悪いでやがりますから、いいでやがりますが・・・・。沙紀さんは山はご存じでやがりますよね?」
「ここから見える範囲のはだいたい」
「・・・・お寺とかはもういいでやがりますか?」
「私はここからですけどね・・・・」
この辺りの地理は把握していますし、当時と現代でもあまり違うところはありませんし。神社仏閣にも興味はあります。
「・・・・・うむむ」
「どうしたんですか?」
「だとしたら、もうここ近辺で見られる所は概ね見て回ってしまったでやがりますよ・・・・」
「もう何もないですか?」
「朝から出掛けたのにお恥ずかしい限りでやがります」
「そんな事ないでやがりますよ!」
「綾那さん。口調が移ってますよ」
「そうですよ。町も人も三河のようで落ち着きました」
「三河も何もないですからねー」
「おおお・・・・二人とも、良い子でやがりますな・・・・!」
先程の沈んだ表情から一転して、感無量という感じの笑顔が出ましたので、デジカメで撮りましたけど。夕霧もこうやって笑ってる方がいいと思いますよ。可愛いですしね。
「で、沙紀さんは甲斐の地理にも心得があるようでやがりますが、どこか行きたい所とかないでやがりますか?」
「そうですね〜・・・・」
私たちは訓練か旅行で来た感じですし、結構回りましたからね。すると隊長からある場所にという指令が届きましたが、なるほど。あそこですか。
「・・・・下山城というところは遠いですか?」
「下山でやがりますか?」
「隊長の指示というか指令ですね。前に春日が言っていた、武藤と山本と言う人に挨拶をという事らしいですが」
「・・・・・ん?」
「どうしましたか?」
「・・・・ふむ。そういう事でやがりますか。下山だと、今から向かえば着くのは夕刻頃になるでやがりますよ」
まだ朝なのにここから夕方とは遠いのでしょうか。この時代の基準としてはそれでも近いと思いますが。行くとすれば躑躅ヶ崎館に戻れるのは明日になりそうですね。
「沙紀さんは大丈夫でやがりますか?」
「私は平気ですし、空からの攻撃も夕方頃には決着も付いていますと思います。夕霧は忙しいのではないのでしょうか?」
「夕霧は平気でやがります。うーん・・・・そうでやがりますな。下山の状況
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