二十二章
甲斐案内
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がりますが、雁ヶ腹摺山の南には・・・・」
夕霧の指差す方に従って視線を巡らせていけば、そこにもずらずらと高い山が連なっている。俺らはそれより高いところにいるけど。
「そちらにありやがるのは・・・・」
『三つ峠だったか。甲斐でもそう言うのかは知らんが』
「おや。ご存じでやがりますか?」
『知っているさ。そこから富士山を挟んで、早川尾根、駒ヶ岳、鋸岳・・・・赤石の山々は一通り知っている』
どの山も一回は登ったことがある山々で、訓練とかで来るときもある。崖での救助訓練とか趣味でロッククライミングとか。
「だとすると、見て回るのは結構でやがりますか?」
『俺はだけどこの二人は見て回った方がいいだろ』
俺らは見て回ったし、現代でも過去でも違わないからな。俺より綾那や歌夜に見せておいた方がいいと思うし。おっとゲートが出現したようだ。
『悪いが、通信を切らせてもらう。こちらに来る敵が来るんでな。綾那に歌夜、お前らで楽しんで来い。ではな』
と言って通信を切ったところで、ドウターゲートが現れた。
「兄上が言うなら案内するでやがる。それより兄上の敵というのは、祝言のときのあいつでやがるか?」
「はい。一真様曰くあれを排除するのが使命だそうです。詳しくは聞いてませんが、鬼以上に厄介な敵だそうで。私たちでは倒せないと仰っていました」
「でやがるか。兄上の敵の事は後で聞くでやがるから、さっき言った辺りものんびり見て回るでやがりますよ!まずは甲斐善光寺でやがりますかね・・・・」
甲斐善光寺・・・・武田信玄が、信濃善光寺が災禍に見舞われることを恐れ、ご本尊などを移すために作った。
「・・・・で、さっきのが慈照寺でやがります」
甲斐善光寺をを後にした歌夜たちは、甲府の街から見える山を眺めたり、道すがらにある寺や神社を見て回ったと、主に聞いた。主とは寺や神社のな。で、そのままゆるゆると西へ向かう歌夜たち一行。
「おはようございます、典厩様」
「おはようでやがります」
「今日はどちらまで?」
「姉上の良人殿の妾殿に甲斐国を案内する所でやがります」
「おお・・・・。ですがその良人殿がおりませんが?」
「良人殿もと思い誘ったでやがるが、仕事があるというわけでやがる。なので、代わりに妾殿を案内しているところでやがりますよ」
とか話してたらしいとあとで聞いたけど。
「そういえば兄上はどういう感じなのでやがりますか?」
「どういう感じとはです?」
「甲斐はどこもこういう感じでやがりますが、尾張や美濃は違うと聞いたことあるでやがる」
「そういえばそうですね。無礼ではなく、武士も町人も同じ立場、と言ってましたね」
「ほほぅ・・・・。信長
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