二十一章
本物の晴信×祝言について
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す」
雫の問いかけに、光璃は黙ったままだ。雫は力強く言葉を続けてみせる。
「越後・長尾景虎様との交渉にて連れてこられたこの甲斐で、鬼が出ている事は承知致しました。そして、お屋形様が今はいない一真様との祝言を望んでおられる事も。武田の政戦両略について、我らが意見する権利はありません。ですが織斑一真様の未来の妻として、事情を知る権利はあるのではないか、と愚考する所存。如何か?」
殺気だった武士もいるが俺が結界を張ってあるのか、身体は震えていないし、声も普段通りだ。武田家棟梁に真正面から言葉をぶつける。
「・・・・始まりのきっかけ。終わりのきっかけ」
雫の言葉による質問による答えは一言だけだった。説明というか、短すぎではないのか。家臣達も首を捻る。
「それが、一真様だと?」
「・・・・(コクッ)」
「ザビエルとやらではなく?」
「・・・・違う」
「夕霧ちゃん。どういう意味・・・・?」
「分からんでやがる」
「・・・・鬼の出現は、一真様のせいと。そしてそれを終わらせるのもまた一真様だと。・・・・武田のお屋形様はそう信じていらっしゃるのですね」
「・・・・ってことはだぜ?今いない男を倒せば鬼は出なくなるってことなんだぜ!?」
「そうなのら!?」
「なんですとぉー!?例えそうだとしても、一真様へのそんな狼藉、綾那が許さないのです!!」
『抑えろ綾那!』
「あ、あうっ」
反射的に立ち上がり、懐に手を伸ばそうとした綾那を、その一言で引き留める。綾那も頭に血が上ったのが分かったんだろう。俺の言葉に小さく息を飲み込んで、再びその場に腰を落としてくれた。
『俺をどうするかは、詳しい事情を聞かないとな。それに俺は死なんよ、で、例え俺が死んだとしても鬼は出なくなると?』
「ならない」
その通りだ。まあ鬼がなぜ出るようになったのかはいずれ分かるという感じだし。
「まあ、そのような単純な方法であれば、お屋形様も一真殿を躑躅ヶ崎まで無事にお連れしろとはおっしゃるまい。それこそ越後から連れ出した後に片付ければ済む事よ」
「そうですね・・・・」
春日が俺のことを殿で言うのはおそらくまだあまり信じていないのか、家臣団や他の四天王には知らされていないのかのどちらかだな。あと霊界から新羅三郎義光が俺に謝罪をしてきているが、俺は気にしてないから大丈夫だと言ってある。本来なら姿を現すけど、今はまだだ。ゼットンが現れない以上まだ真上にいる。あとは越後のごたごたの合間に仕掛ければ間違いなく俺直属部隊が殲滅していただろう。
「しかし、だとすれば・・・・このような手段を取らず、同盟に加わることを決めた美空様と協力してもよかったのでは・・・・?」
「・・・・美
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