二十一章
鬼退治前
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
一方武田家がいる躑躅ヶ崎館ではざわついていた。今は夜だけど、分身体である俺は静かに目を覚ました。喋るのは本体の俺からの口のみだけど、今頃は鬼は全て殲滅しているのかもな。外から聞こえるのは多くの人たちの走る音だな。俺は起き上がると聞きなれた声が聞こえた。
「一真様一真様。何だか周りが騒がしいです」
「おはよう。綾那。だけど俺は俺ではない、所謂分身体だ。本体は今頃船で仕事をしているんじゃないのかな。それより良く眠れたかな」
「はいです!たくさん寝れたです!ですけど、一真様の分身体ですか?どこかからどう見ても一真様しか見えないです」
「しーっ。綾那、声が大きいわよ」
「歌夜も起きたのか。おはようとでも言っておこうか」
「おはようございます。といっても分身体ですよね。この事は内緒にした方がいいですか?」
「その方がいいだろう。幸い武田家にはバレテないし。で、今の状況はどうなっている?」
「分かりませんが、騒々しいのは確かな様子です。何かあったのでしょうか?」
どうだろうな。まあ俺の本体は今頃鬼を殲滅して、武田の力を見てみたく夜叉たちを召喚したと思うな。それを見た人間は鬼としか見えない様に幻術をしたのだろう。
「ご主人様」
「小波か。といっても俺は分身体だ。ある程度は話せるが屋敷内が騒がしいようだな」
「はっ。それが・・・・・」
その瞬間だった。
「たのもー!」
勢いよく障子が開かれて、一人の女の子が、何かあったかのような顔をして入ってきた。小波の方を見ればもういなかった。さすがだな、反応速度がいい。
「織斑一真!お屋形様がお召しら!」
おっかない顔に、完全武装のはずだが、第一声は意外だった。
「は?ら?」
「お召しら!」
「おしめら・・・・?その前にこれを喰らえ!」
と言ってからハリセン一発。いくら分身体でも俺は俺だからな。呼び捨てにされるのは何か苛つく。
「うぅぅ・・・・・。何するのら!お召しら!と言っているのら」
ハリセンはたいた後にこれだからなのか。完全武装で怒っているが逆に俺が怒りたい方だ。
「あの・・・・お召しだ、と言っているのでは?」
「あ、そう言う事か」
言われてようやく気付いたけど。
「むにゃむにゃ・・・・何れすか・・・・」
「ふぁああ・・・・・」
そして、謎の女の子の堂々とした声に、脇で寝ていた軍師二人もようやく起きる。
「とりあえずお召しには従うが、どうすればいい?」
「嫁達を連れてついてくるのら!」
「・・・・了解。ついて行けばいいのだな?」
「うむ!急ぐのら」
分身体だけど武器は使えるから何とかなるかな。綾那をチラリと見ると無言ではあるが頷い
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ