二十一章
越後から甲斐・甲府へ
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収済みだし、トレミーも移動を開始している。微速前進だけど。俺達は典厩・・・・夕霧に連れられて、越後を離れて一路、南へ。目指す先は、甲斐の中心地、甲府。ただし、ある程度の街道というより道らしきものはあるが、さすが敵対国に通じる道だけあるのか、ほとんど整備されていなかった。そこを早馬のような勢いの騎馬で迷いなく突っ走るのは、さすが騎馬軍団で鳴らした武田というかなんというか。現代でいうなら整備されていない道をジープで突っ走るもんだな。
「むぅ・・・・。今日こそは負けないのです!」
「昨日は良い所まで行ったのにね・・・・」
「なら、今日こそ勝つですよ!」
一真隊内では・・・・という注釈がつくが・・・・馬術の腕前の上位に位置するだろう三河の二人でも、夕霧には全く追いつく事が出来ずにいる。客人扱いとはいえ実際は捕虜の扱い。でも神様を捕虜するのもどうかと思うが、今の俺は人間だからしょうがないか。武装解除といっても俺のは解除していない。ハンドガンはホルスターに入れてあるし、剣は空間にしまってある。それにホルスターには俺以外の者には触れられないようにしてある。
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
さらに言えば、武田軍団には余裕・・・・というか三河でも普通でも、何とかならない子もいるけど。
「大丈夫か?詩乃」
「はい。・・・・正直、あまり大丈夫では」
呟く詩乃の傍らで、雫も馬上で苦しそうにしていた。俺もだけど。騎馬で突っ走るなんてした事はあまりないし。春日山を出てから数日経っている。連日こんな調子での強行軍が続けば、元々体力のない二人には地獄だ。すぐに息が上がってしまう。なので二人には回復する粒子を注いだあとに俺は夕霧の所に向かう。
「おーい、夕霧」
「何でやがりますか」
「今日はあとどのくらい進む予定なんだ?」
「今日は川中島までは着きたいでやがりますから、夕方までは進むでやがりますが・・・・またでやがりますか?」
「まあな。済まない」
「仕方がないでやがりますよ。越後は道が悪いでやがりますからな」
「信濃に入ったら道はいい方?」
「でやがります。川中島を過ぎたら、今よりはだいぶ楽になるでやがりますよ」
「そうか・・・・」
「この先に小さな塚があるはずでやがります。そこで休憩するでやがりますよ」
「助かるよ」
夕霧からそう約束をしてから隊列に戻った俺。まあ俺の馬はゼロだからな。戻る途中で取り出したのはお守り袋。
「(小波、今どこらへん?)」
「(は。ご主人様たちが見える位置におります)」
そう。俺達一行の6人目は、いまだ俺達と合流せずに別行動を取っている。
「(そうか。遅れていたら休憩だから追いつけると思ったが、心配はなさそうだったな
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