ニ十章 幕間劇
別れの夜
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俺はあの後に一度船に戻りメディカルチェックをした。さっきエリクサーを飲んだから大丈夫だとは思うけど、一応な。結果は大丈夫とのことで今は屋敷でノーパソを出してからある書状を打っていた。久遠の繋ぎについて打っていた。けど、俺が打っていたのは現代文なので打ち終わった後にゼロがこの時代の文章にしてくれる。で、それを印刷して隣にいる雫に見せたけど。
「こんなもんか?」
「そうですね。それで長尾家の検閲があっても、問題ないと思います。それよりお体の方は大丈夫ですか?」
「ああ。もう大丈夫だ。色々と心配をかけたな。久遠との連絡についてはこれでいいと」
美空からやっと許可が出たので、ようやく出せる久遠の手紙。本当なら越後が落ち着いてから出したかったが、武田の使いが来た今現在、この後の事を考えたら今書いとかねばいかんし。
「それならいいが、返事は受け取れんの」
「俺達の無事を伝えるだけでいい。・・・・今はな」
本来なら返事を待ちたいが、今の状況を考えたらそういう訳にもいかんから。甲斐に返事を出せなんて論外だし。俺らが使っているケータイや通信機で電話、メールが出来れば1分もかからないが、この時代にはまだそういう技術がない。この技術を持っているのは俺達黒鮫隊だけ。あとこの世界では返事を待つのにどれだけ時間がかかるのやら。たまにはこうやって手紙を書くのも新鮮なわけなんだよな。文章を考えて打つのは、あまりないことだ。
「ですが、ちゃんと連絡を取ってくださるでしょうか?」
「それなら心配いらん。一度約束を破るような子ではないと思うが、美空は」
「その自信が一体どこから来るのか、私にはいつも不思議なのですが」
「まさに天の授かり物なのであろうよ」
「神の勘だ。それに俺の勘はよく当たる。それに手紙を渡すだけなんだからな、それに美空はこの先の事を分かっているだろうし。それに久遠もな」
見据えるゴールは一緒だが、果たしてこの外史はどうなるのかな。考える道のりは違うとしても利害が一緒なら、話し合えるだろうし。例えその場に俺がいなくても。
「女性に対しては些か甘いような気がします。ですが心配はしますよ」
「男でも女でも仲間に対しては優しくも厳しくもしている。それにこの手紙、俺の自筆の方がいいんじゃないのかなと思うんだが」
本当なら俺の字でもよかったが、こっちの方が俺だと分かるらしいからワードで打ってみた。で、今は皆に確認をしてもらっているが問題はなさそうだ。あと美空は字がきれいだとか。俺はキーボードで慣れちゃったからか、あまり字は書かないんだが。サインとかは自筆だけど。
「たのもー。たのもーっす!」
「開いてるから入っていいよ」
開けたのはやっぱり柘榴だった。
「ああ、いたいた。
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