ニ十章 幕間劇
別れの夜
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そんなわけあるか。何してんだ、綾那」
「や。こいつ、よく話してみると、なかなか話の分かる奴なのです!どや!」
「ふふん。この越後一番の義侠人、樋口愛菜兼続様に付いてくるなど、三河にもなかなか出来る奴がいたものなのですぞ!どーん!」
「どーん!」
「どーん!」
綾那はただそれが言いたいだけだろうに。愛菜について行けるとは、さすが本多忠勝なのか?とりあえず愛菜の相手をしてくれるからハリセン叩かずに済むな。
「空。美空を探しているんだが、どこにいるか知らんか?」
「美空お姉様なら、多分庭の方にいらっしゃるかと」
「そうか。ありがと」
「あの・・・・一真様」
「ん?」
「一真様は・・・・甲斐に行かれるのですか?」
「うむ。そのつもりだ」
「そうですか・・・・」
俺がそう言ったらしゅんとして俯いた小さな頭に、俺は手を伸ばした。
「・・・・あ」
「美空の事、頼むな。空」
こんな小さな子に頼みごとをするのは、普通の男なら情けないと思われるが、拠点には空ぐらいの小さな子はいるにはいる。ちょうど璃々ちゃんくらいか。あとは大人だけど鈴々や真留、はじめがいるし。それに今の越後で一番美空の心の支えになるのは、空ぐらいであろう。
「・・・・はい。一真様も、道中お気をつけて。でもあの時みたいにはならないでくださいね」
「わかっているさ。もう甲斐には滅ぼすという気もない」
小さな頭を撫でていたら、空は先ほどの心配をしてきた。そして心配ないと言ったら優しい微笑みを見せてくれる。
「そうだ、一真様。もう一つ、伺ってもよろしいですか?」
「俺に答えられる範囲なら答えよう。何かな?」
「一真様は・・・・美空お姉様の妾、恋人になられたのですよね?」
「まあそうだな。今の所、祝言もまだだし形式的には妻になるけど恋人だな。この先の未来では妻になっているのかな」
「でしたら・・・・もし、空が正式に美空お姉様の娘になったら、一真様は・・・・」
「ああ・・・・。そうなるのかな」
「はい。もしそうなったら一真様の事をお父さまと呼ぶ事になります」
空が本当の娘になったら、そう呼ばれるとは思っていたが。そう呼ばれるのは慣れないな。主やご主人様やお兄ちゃんとかは呼び慣れていたけど。まあ優斗も父さんと呼んで来るから自然だったけど、空から呼ばれると慣れないな。
「もうしばらくは名前で呼んでくれると嬉しい」
「では、一真様とお呼び致します」
璃々ちゃんはお兄ちゃんって呼んでくるから、自然的だったけどよくよく考えれば俺は璃々ちゃんのお父さん何だよなー。紫苑とは妻だし。
「あれ?そうういえば義侠人は黙るの?」
愛菜が珍しく黙ってい
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