暁 〜小説投稿サイト〜
戦国†恋姫〜黒衣の人間宿神〜
ニ十章
典厩と会談
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「あいっかわらず、見た目と口調が違う奴ね、あなた」

「姉上もよく褒めやがるですよ?」

「無礼なのか、親しみやすいのか・・・・まぁ良いわ。まともに相手してたら気が変になりそう」

「そんなに褒めやがるなですよ♪」

ニコニコと笑っているところは年相応で可愛らしいのだが。明らかに空気を読めてないというか、あえて読まないような振る舞いをしてるというか。その口調と合せて、典厩の雰囲気は全く読めない。

「・・・・はぁ。で、今日は何の用かしら?」

「今日は姉上からの書状を預かってきたですよ。さぁ読みやがれです!」

物言いはああだけど、美空に書状を渡すためにやってきた柘榴に対する振る舞いは、違和感のないもんだ。この前二条館で教えてもらった作法のような気がする。

「書状ねぇ。・・・・良いわ、見てあげましょう」

「早く見やがれです!」

柘榴から受け取った書状を開き、美空はそれを静かに目を落とす。

「(美空の言う通り、見た目と口調の違いが激しい子だな)」

「(確かに妙な口調ではあるが、彼奴はなかなか良い武者であるぞ?)」

「(そうなのか?)」

「(母君の信虎殿を追放した後、甲斐、信濃の平定に姉妹三人で力を合わせ、ついには平定を成し遂げたという話ですからな)」

「(私も旅の雲水などから、甲斐の話を聞いたことがありますが、戦振りも政についても、晴信殿、信廉殿のお二人は古今の名将に比肩するほどの人物のようでした)」

雲水・・・・・修行僧のこと。

「(詩乃がそこまで言う人物なら、それほど凄いということか)」

「(まあ、噂だけであれば一真様も相当なものですから、噂を鵜呑みにするわけにもいなかないでしょうが、一真様の場合は噂以上の人物で、事実なお方ですから)」

「(でも、鞠と同じくらいの背なの)」

「(そうですわね・・・・。けれど、人の大きさは背の高さだけではありませんわよ。鞠さん)」

「(うん。・・・・って、大きな声を出しちゃダメなの。しーっなの)」

「・・・・こほん」

手紙を読み終えた美空は口を閉じた俺達の方をちらっと見てから。視線を咳払いで誤魔化しながら、典厩へと向き直る。

「やれやれ・・・・見事な意趣返しね」

「ふふんっ。常田の戦いの後の横車への仕返しでやがります!覚悟するでやがりますよ!」

「まぁあのときは悪かったわよ。こっちだって鬼ってものを知らなかったんだから」

「知らんで済めば弾正はいらんでやがります!」

「そうでしょうけど。・・・・」

ぼやきながら、美空はもう一度手紙に目を落とす。さすがに典厩の前だから表情も仕草も必死に我慢しているな。だけど、伏せた目の中に宿るのは、怒りの意志のようなものを形にするよ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ