ニ十章
典厩と会談
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「あいっかわらず、見た目と口調が違う奴ね、あなた」
「姉上もよく褒めやがるですよ?」
「無礼なのか、親しみやすいのか・・・・まぁ良いわ。まともに相手してたら気が変になりそう」
「そんなに褒めやがるなですよ♪」
ニコニコと笑っているところは年相応で可愛らしいのだが。明らかに空気を読めてないというか、あえて読まないような振る舞いをしてるというか。その口調と合せて、典厩の雰囲気は全く読めない。
「・・・・はぁ。で、今日は何の用かしら?」
「今日は姉上からの書状を預かってきたですよ。さぁ読みやがれです!」
物言いはああだけど、美空に書状を渡すためにやってきた柘榴に対する振る舞いは、違和感のないもんだ。この前二条館で教えてもらった作法のような気がする。
「書状ねぇ。・・・・良いわ、見てあげましょう」
「早く見やがれです!」
柘榴から受け取った書状を開き、美空はそれを静かに目を落とす。
「(美空の言う通り、見た目と口調の違いが激しい子だな)」
「(確かに妙な口調ではあるが、彼奴はなかなか良い武者であるぞ?)」
「(そうなのか?)」
「(母君の信虎殿を追放した後、甲斐、信濃の平定に姉妹三人で力を合わせ、ついには平定を成し遂げたという話ですからな)」
「(私も旅の雲水などから、甲斐の話を聞いたことがありますが、戦振りも政についても、晴信殿、信廉殿のお二人は古今の名将に比肩するほどの人物のようでした)」
雲水・・・・・修行僧のこと。
「(詩乃がそこまで言う人物なら、それほど凄いということか)」
「(まあ、噂だけであれば一真様も相当なものですから、噂を鵜呑みにするわけにもいなかないでしょうが、一真様の場合は噂以上の人物で、事実なお方ですから)」
「(でも、鞠と同じくらいの背なの)」
「(そうですわね・・・・。けれど、人の大きさは背の高さだけではありませんわよ。鞠さん)」
「(うん。・・・・って、大きな声を出しちゃダメなの。しーっなの)」
「・・・・こほん」
手紙を読み終えた美空は口を閉じた俺達の方をちらっと見てから。視線を咳払いで誤魔化しながら、典厩へと向き直る。
「やれやれ・・・・見事な意趣返しね」
「ふふんっ。常田の戦いの後の横車への仕返しでやがります!覚悟するでやがりますよ!」
「まぁあのときは悪かったわよ。こっちだって鬼ってものを知らなかったんだから」
「知らんで済めば弾正はいらんでやがります!」
「そうでしょうけど。・・・・」
ぼやきながら、美空はもう一度手紙に目を落とす。さすがに典厩の前だから表情も仕草も必死に我慢しているな。だけど、伏せた目の中に宿るのは、怒りの意志のようなものを形にするよ
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