ニ十章
武田への対策
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うことですわね」
「・・・・・恋敵?」
「そうです」
頷いた雫は一度こちらを向いたが、俺は頷いてから、意を決した言葉を続けた。
「美空様。一真さんの恋人、妾になりませんか?」
やっぱりそう来たか。
「おお・・・・っ!?」
「はぁ・・・・?私がこいつの恋人、妾になればいいの?」
「こいつとは失礼な言い方だな。なあ、帝釈天」
俺は隣に帝釈天に言ったら、無言ではあったけど頷いた。けど反論はしない。
「はい。この日の本で鬼と戦う決意を示すため、織斑一真様という神仏の類、または神様と添い遂げる。・・・・越後ではなく、日の本のために。そう喧伝すれば。日の本全土の為という点、そして婚姻による決意を強調することによって、万人が受け入れやすい大義名分を得ることになります。・・・・これは無形の力となるでしょう」
「なるほど。日の本のために一身を投じた越後に侵攻するとなれば、武田は国賊の汚名をきることになる」
「禁裏より勅を得、且つ、幕府より正式に認められている創造神・織斑一真様の恋人に弓引くは、畏れ所に弓引くことと同じである。という寸法ですな」
「はい。武田が退くかは分かりませんが、少なくとも越後内部の平定には十分な効果が発揮するかと」
「・・・・確かに」
「いま春日山を攻めたら、関東官領どころか禁裏にも弓引くことになっちゃうって事っすかー」
「その通りです。武田に関しても、この噂を喧伝した後の動きで、何を考えているのかが判明するかと」
攻めるなら朝敵となって立場が悪くなる、攻めないなら後顧の憂いが断てるという事だ。どう転んでも不利なのはこちらだ。黒鮫隊を導入すれば追っ払えるけど。
「だそうだが、美空」
「・・・・・・・」
問うたら返事はない。まあいきなり俺の恋人つまり妾になれと言われたら無言にはなるよな、こういう乱暴な策は。
「一つ・・・・・いいかしら」
「はい」
「いえ。雫じゃなくて、一真」
「俺?別にいいけど・・・・何だい?」
「あなたは私が妾になること、どう思うの?」
「俺としては、越後のため日の本のため、戦況が有利になるから俺の妾になるのは、それはおかしいことだと考えなくとも分かるだろう」
「・・・・・・・」
「そういうのは人身御供になっているだけの事だ。これ以上美空にそういう思いをさせたくないというのはある事だ」
本当なら寺で一生を終えるはずの美空が、豪族たちの都合でこんな所に引っ張られて、自分の姉とも戦う羽目にもなった。挙句の果てに妾まで越後のために決まりましたではおかしいし、そういうのは救われない気分だ。
「だから、もっと納得のいく方法というか丸く収まる方法というか、美空も幸せになれる
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