ニ十章
春日山城潜入作戦前×作戦行動の再確認
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「ほらな」
前に侵入した直江屋敷裏に吊り下げたロープはすでに回収済み。崖の上の警戒は少し増えていたが、予想通りの配置のようだ。人手不足かやる気のなさだろう。きっと春日山城の奴らはこう思っているはず。「こんな所から何度も登り降りするわけがない」という考えだが、それは甘い考えだ。
「ただし、崖は前回以上の峻嶮な岩壁。先遣隊として麓まで同行した綾那さん、歌夜さんのお二人も、間違いなく前よりも厳しいとのこと。黒鮫隊の者たちは慣れ慣れしく登っていたと」
「ほらな」
それも予想通りなんだな。トレミーからヴェーダに送っての計算をしてもらい、どこを登るかも計算済み。綾那さえ直江屋敷裏より厳しいって見るより岩壁なら、向こうのはこう思うだろう。「ここはいくらなんでも無理だろう!」とな。こちらはその裏を突くわけだ。
「だ、大丈夫ですの?」
「心配はない。先遣隊の俺達の者も言っていたが、簡単だそうだ。相手の虚を突くのは兵法の基本だろ?」
「それは間違っていませんが・・・・」
「とりあえず相手は五千だろうが、黒鮫隊の前にいたとしても敵わないほどの戦力を持っている。春日山城なんて簡単に落城させたいがな」
「大手を振って正面からぶつかりたいものですなぁ」
裏からの奇襲もちゃんとした任務だ。忍んでいくのもな。
「またワシらの出番は後回しか。まあ作戦ではそうなのだからしょうがない。ワシらが先鋒で戦うのは鬼たちとだ。温存はしておくのも手だな」
「全くですわ。私もこの将才を、いつ天下に示すことができるのでしょう」
「今回は一真隊も、春日山の城攻め部隊に入れるという話ではある」
「先鋒でなきゃ意味ねえだろ」
「その通りですわ!」
「おいガキども!一真の策に文句を言うのであれば、ワシが許さんぞ。ワシだって我慢しているんだから、ガキどもも我慢の一つはできるだろうが!」
と桐琴の説教一つで何とかなったけど。今回の戦は長尾衆がメインだ。サブならともかく、先鋒で長尾衆より目立ったら後で何か言われるんだからな。
「そうです。今までは長尾衆に貸しを作るのが重要でしたが、今回肝要なのはそこではなく、春日山を落とすこと」
「はい。この戦の成功そのものが、難局にある鬼との戦いと、後の日の本の運命に影響を及ぼす、回天の一手」
「この戦いにて、長尾衆が一真様のお味方となるかどうか。・・・・それこそが今後の大局に影響を及ぼすこととなるでしょう」
これを言ったのは二回目だったような気がするが、まあいい。作戦は必ず成功させるのが俺達だ。春日山を取り戻すまでの支払いはいつになるかは分からない。そう言われたら、手伝わないわけにもいかない。
「どうあれ、城門を開けなければなりません。・・・・一真様
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ