十九章 幕間劇
膝枕
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一夫多妻制なので、一人というわけではない。俺の拠点である駒王町は、そういうのはないが、俺の権限によってできたことだし。
「・・・・・・主様」
「何?」
「その顔は、別のおなごの事を考えておる顔じゃな」
ほう。分かるのか。
「久遠や結菜、それに別の世界にいる俺の妻たちを考えていた」
「・・・・・そうか。主様の妻たちは離ればなれだからか?」
「そういうことだ。だけど、心と心が繋がっているから寂しいとは思わない」
まああとは写真とかあるし、声が聞きたいのであれば通信もできる。
「それと双葉は何をしてるかなー?」
「まあ主様の予想通りかもしれんぞ。それに余の臣は、余がおらずとも勝手に動く者が多い。余が何を望んでいるのも理解しているはずだ」
そうかもな。俺の部下も何も言わずに行動するときもあるし。
「信じているのだな」
「主様も久遠や結菜のことは信じているのだろう?」
「無事に朽木谷に下がったという報告は来ているから心配はないだろう」
ただ久遠は優しい子だ。俺が消息不明になったのは自分のせいなのではと考えるだろうな。
「主様は久遠が心配か」
「それもある。この世界に来たときに出会った最初の者だ。それにずっといるという約束を破ってしまったから」
本当ならいますぐ船か翼で久遠のもとには行きたいが、今は帰れない。春日山の事も放っておけないからな。距離的にはいつでもいけるが、今は美空の力になりたいと思って自らここまで来たからな。
「一葉の髪はきれいだ」
「そうでもない。もう、当分双葉に梳いてもらっていないからな」
「双葉ね。二条館の朝はいつも双葉に髪を梳いているんだったな」
ああいう光景を見れるのもいいけど、たまに俺がやるときもあるからな。主に髪が長い妻たちに。人数が多いときは俺が分身をしてやったこともあったけどな。
「うむ。余の髪を一番上手く梳けるのは、双葉だからな。あとあまりじろじろ見ないでくれ。別に悪いわけではないが、主様には、もっと美しいときの余の髪を愛でて欲しいのだ」
「今の髪もきれいだと思うし、何だかいい匂いがする」
「今日は匂い袋を付けておるからな。京の市で買えば、そう高いモノではないからの。そこえあのゴロツキを締め上げれば、買える額だ」
おいおい。ゴロツキどもはATMか貯金箱だな、それは。あとこの近くで見た品は高い値だったようだ。ここからだと京とは違うし、距離も違う。土地も違うし、物価が高いんだろうけど。京と他では違うとカルチャーショックでも受けたのであろう。
「まあいつかお前を京に戻す日が近いかもしれん」
「そうだな。いつかは戻りたいものだ」
一葉の膝枕なのか、あくびをしながら言うけど。
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