十九章
人質解放×脱出
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あるからな。全力疾走は難しいなと思ったら。
「ん、んんん〜〜〜〜〜〜〜・・・・」
俺の背負っている空が小さな声をあげた。
「あ、あれ、ここ・・・・どこ・・・・・?」
「起きたか?」
「・・・・・っ!?」
背中越しに声をかけたら、いきなり暴れ出した。
「お、おい!馬の上だから暴れるな。下を見ろ。下!」
「・・・・・ひっ!?」
さすがにその声と揺れに、今いる場所がどこか理解したのであろうな。背中からそんな息を飲むとも悲鳴ともつかない声がした。空はそれきり大人しくなる。
「大丈夫だ、俺は君の敵ではない。美空に頼まれて君を助けにきたんだ」
「・・・美空、おねえさまに?」
その名を繰り返した空の声は、警戒を緩めたように思えた。
「そうだ。君たちが城方に捕まってと、美空に勝ち目がないだろ?」
「・・・・・・」
「だから君を攫いに来たのさ。・・・・・大人しく俺に攫われてくれるかな?」
「あ、あの・・・・」
「何?」
「あなたはどなた・・・・?」
ああ、そうだったな。名乗ろうとしたらあのバカに邪魔をさせられたんだった。そして愛菜を気絶させたらいつの間にか失神したんだったな。
「・・・・俺は織斑一真という、よろしくな」
「織斑・・・・一真?・・・・あ。もしかして田楽狭間の天人と言われている・・・・?」
「越後でもそれかぁ。それしかないの?」
「三河では如来様の化身と言われているです!」
「あ・・・・愛菜!」
馬を寄せてきた綾那の背中にしょっている愛菜を見たのであろうな。
「えーとだな、美空からは君と愛菜を何としてでも助けてほしいと言われたのでね。こいつは一々うるさかったから気絶させた。で、そしたら君も気を失ってたからそのまま連れてきたと言う訳だ」
「田楽狭間の天人殿が・・・・」
せめて様をつけてほしいなー。まあいいや。本来の姿を見せればいいし。通り名的には綾那方が合っているかもしれないけど。
「で、その天人様が美空に頼まれて君たち二人を攫いに来たわけ。信じてくれるかな?」
「・・・・・・」
その問いに対して、背中からの返事はない。しばらくは馬の足音と後ろからの呼び子の音が聞こえるが。
「・・・・信じます」
ただ一言。空はそう返してくれた。
「ありがとな。だけど、あいつは信じてくれるか?」
「愛菜は大丈夫です。ちょっと、その・・・・変わった子だけど、良い子なんです。空の心はちゃんと分かってくれると思います」
「分かった。愛菜の説得は、君に任せてもいいか?」
「はい」
「よろしくな。ところでどこか痛い所とかはないか?酷い事とかされてないか?」
「はい
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