十九章
再び春日山城下
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い残して、浪人風の少女はその場を悠々と立ち去って行った。
「わ、わあ・・・・私、一真様の奥さんですって。でも、誰なんです?この間潜入した時にお知り合いになった方ですか?」
「奥さんじゃなくて恋人な。あと、おそらくあいつは他国の間者だな」
ゆらゆらと歩いているが、隙はあるようでない。情報だと武田の間者だな、あれは。たぶん俺らの事も知っているんじゃねえのか。
「そういう意味でもある意味ご同業ですか」
まあ、ああいうのとはやり合いたくないもんだ。
「一真様、調査完了致しました」
隙のない彼女が人混みに混ざって消えた後に、入れ替わりとして綾那達だった。どうやら言いつけ通りの調査を終えたようだ。
「さてと、怪しまれずに移動するか」
俺達が移動したあと、武田の間者と思われる者はある者と合流していた。
「一二三ちゃん!こんな所にいた!」
「やあ湖衣。そっちの様子はどうだった?」
「ひどいものです。あの春日山が、まさかこのような事になるとは・・・・。景虎の底も知れたというものです。一二三ちゃんはどうでした?」
「似たようなものさ。ただ、、お屋形様や典厩様にちょっとした土産を一つ、見つけたけどね」
「・・・・お土産?何ですか?」
「内緒」
「もう、一二三ちゃんはいつもそうなんですから!」
武田の間者と思われる者が言ったキーワード。それは典厩だ。おそらくそれは武田信繁だろうと俺は察知した。おそらくこの子らは気付いてないかもしれないが、上には小型偵察機が飛んでいる。俺らが使っているのは気配もなく姿もない。元の偵察機に神の力で透明化して気配を察知されないようにしたからだ。そのおかげで町のいろんな声が聞けたので、俺の通信機からの指示でトレミーに帰還させた。帰還したときは元の姿になっているし。今俺達が向かっているのは春日山の城だ。
「この辺りが春日山の裏になるんですね」
多くの兵が守っている城門を過ぎてからぐるりと大きく回り込めば、やがて池が見える。そこから上に向けてそびえるのは、春日山の山肌だ。
「確かに険しい所ですね・・・・。この三日間、一通り訓練は受けましたけど、こんな所を本当に登れるのでしょうか?」
昨日までの準備の間に、壁登りの基礎を疑似空間で済ませてある。もちろん俺達が使う道具も一通り覚えてもらった。今日から三日間は実地訓練である。そして七日目がいよいよ本番だ。今回使う道具は創造の力で創ったもの。俺達はいつでも登れるが、表としてのこいつらは道具はないのでな。ヘルメット、ハーネス、ビレイグローブ、チョークバック。
「大丈夫だ。そのために色々と学ばせたのだからな。あと実地訓練のために指導する隊員を連れてきているから心配するな」
「基礎も三日し
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