十九章
美空たちと合流
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「三千も付けばいい方って思ってた」
「四千ならぎりぎり倍で済むっすけど。いくら兵の士気が下がってるって言っても、五千は面倒っすよ」
「そうですね。いまだ晴景様の影響は少ない・・・・という事ですか。それに人質も取られている・・・・とならば」
秋子はそこで言葉を切った。負けはしないが、今の手勢で苦戦は免れないだろうな。表情を見れば分かる。
「そうっす!空様と愛菜をどうにかしないと、やっぱり動きが取れないっす!」
「どうする?御大将」
「・・・・今、考えてる」
松葉の問いに、美空は一言だけ口を開いた。だけど、それっきりだけどな。黒鮫隊はいつでも人質救出の準備が出来ている。上からの降下からか下から登るかで、道具の準備をしてもらっている。美空は何を考えているのかは知らんが、人質さえなければ選択肢はいくらでもある。だが、人質がいることで慎重に動かなければならないことは事実だ。
「・・・・御大将」
美空より先に呟いた秋子の表情は、普段の優しそうな表情とは違う。一目見て厳しい表情だと分かった。
「何?」
「空様、そして愛菜を切り捨てる事を提案します」
「な、何言ってるんすか、秋子さん!養子とはいえ、愛菜は秋子さんの娘じゃないっすか!」
「娘でも、越後のために・・・・いいえ、御大将の為にならないのであれば、即座に切り捨てる。それが武士というものではありませんか」
「・・・・言いたい事は分かる。だけど反対」
「反対は受け付けません。・・・・初めから、そうするべきでした。それさえなければ・・・・」
「ダメよ。二人は見捨てない」
「どうしてです!この状況では、未来よりも今を見るべきです!」
「いいえ」
迷いなく答えた美空に秋子はなおも食い下がろうとする。その言葉にも、美空は静かに頭を振るだけだ。
「こういう状況だからこそ、未来を見るべきよ」
「しかし・・・・」
「柘榴も御大将にさんせーっす」
「右に同じ」
「ですが、他に手は!」
「直江与兵衛尉!」
「っ!」
「同じ事を何度も言わせないで。・・・・私は、あの二人を絶対に見捨てない」
「御大将・・・・」
美空は秋子に秋子以上の強い口調で言い放ち、それきり言葉を止めてしまう。美空もそう断言したし、場の意見も助ける方向で固まっている。が、具体案が出ない以上、黙ったまんまだ。これ以上長引いてもしょうがないので、護法五神を召喚させて俺の代わりに美空に進言した。
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