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戦国†恋姫〜黒衣の人間宿神〜
十八章 幕間劇
笑顔
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らいに良い風だしな。なのに人は戦をしているから、勿体ない話だ。

「そういえばさ・・・」

「はい」

「さっきは何をしていたの?」

「べ、別に何もしていません」

目をそらす小波だが、分かりやすいな。

「ただ、ぼんやりと川を眺めていただけで・・・・」

「笑う練習をしてたろ?」

「ど、ど、どうしてそれをっ!?」

「これで見てたからな」

取り出す望遠鏡をしばらく小波に見せてからしまうけど。

「あうあうあう・・・・」

みるみる紅潮していく小波の顔。望遠鏡で覗かなくとも何となく分かるけどね。小波の反応で確信したけど。

「わ、笑ってみせろとの・・・・ご命令でしたので」

「あれは命令じゃないぞ」

「ご主人様が見たいとおっしゃれば、それは自分にとっては命令も同じなのです」

「まだまだ固いなぁ」

「・・・・すみません」

別に謝ることはないんだけどな。

「で、練習の成果は出たの?」

「・・・・頂いた木彫りのようには上手に笑えません」

木彫りとは、御所での戦の褒美にと、俺が木っ端を削って作った小波の似顔のことだ。

「笑顔に上手下手は関係ないと思うんだけどな」

「関係はあります。・・・・自分は下手です」

「そういうもんなのかねー」

「・・・(コクッ)」

「じゃ、俺に見せてくれる?」

「えっ、今ですか!?」

「うむ。今」

「じ、自分の術は未熟ゆえ、まだご主人様にお見せ出来るものではっ!」

「笑顔は術じゃないぞ。難しく考えすぎだ、自然でいいんだよ」

「う、ううう・・・。ほ、本当に期待せずにご覧下さいませ?」

「大丈夫だから、やってみろ!」

「で、では参ります!」

「お、おう」

「に・・・・にこっ。い、いかがでしょうか?」

「いい笑顔だと思うぞ」

俺は笑顔が上手い下手は関係ないとは言ったがここまで下手な笑顔は初めて見た。まるであいつだな。

「まあその調子でいけばいいけど、その笑みの練習をしたいのであれば俺や他の者を頼れ。その方がいいかもしれないぞ」

「他の者ですか?」

「ああ。俺ではなく、例えば一真隊の者たちとかな。異性より同性の方がいいと思うが」

「そうしてみます。あとは自分が心が冷たいのかもしれません」

何を言い出すんだか。

「小波は人一倍感情豊かだと思うが」

心の冷たい人間が笑顔の作り方ひとつで、こんなに一喜一憂するわけないし。

「でも現実にはこうして顔を引き攣らせているだけで・・・・」

「違うよ。心を表に出せないだけだろうに。それとただ慣れてないだけだ」

代々「草」の家で、そういう風に育てられてきたのだから
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