十八章 幕間劇
温泉デート
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」
まあ、そういう考えもありかもな。
「じゃあ、鞠。行ってみようか?」
「うんっ!」
そして一夜が明けた。
「では一真様。弁当はすでに準備されたとのことですので、草に記された地図でございます」
弁当は、まあおにぎりだけど、いろんな味のだから楽しみだ。鞠は先に俺の馬に乗っているけど。
「悪いな、幽」
「いえいえ。これも我が主の未来の御夫君と鞠殿のためなりますれば」
未来の御夫君とは、いずれ久遠や一葉たち愛妾も、側室に上がり妻として迎えるという事だ。それは拠点に戻れば、ここでいうなら婚礼の儀かな。結婚式をしたいし一人一人に指輪を買うのもいいな。
「それにそれがしも、たまにはこのようなお膳立てもしてみたくなるのですよ」
幽の気まぐれにしても感謝だな。
「それでは、楽しんでいらっしゃいませ。・・・・他の恋人の皆様につきましては、それがしにお任せを」
「ああ・・・。任せる」
「それじゃ、幽!行ってくるのー!」
俺達は幽に見送られを受け、ゆっくりと馬を走らせる。ちなみに温泉の場所はゼロにナビゲートしてもらうために、通信機をつけている。ゼロが馬のまま喋ると、妖かと思われてしまうな。なので、通信機を付けながら地図を見て乗っている。
「一真ー」
「何?」
「今日はお馬さん、ゆっくりでいいの?」
「いいのいいの。別に急ぎの用ではないからな」
山道だし、急ぎの旅ではない。地図とトレミーからの情報を照らし合わせると、一致したのでな。それに距離的には1時間くらいかかるそうだけど、ゆっくり行けば昼前には着くだろうな。
「鞠は急いだ方がいい?」
「ううん。一真とこうやってのんびりなの、初めてだから嬉しいのー」
鞠はにっこり微笑んで、そのまま俺の胸元に後ろ頭を預ける。早馬なら危険だけど、このくらいのスピードなら問題はない。それに鞠も馬には慣れているから問題はないだろうな。こんなにゆったりとするのは久々かもな。
「一真ー」
「どうした?」
「手綱、鞠が持つの」
「手綱?ああ、そういうことか」
と言いながら、手綱を鞠に持たせてから、そっと抱きしめる。小さくて柔らかな身体は、俺の両腕の中にすっぽりと収まる。
「一真、とってもあったかいの」
腕の中で、鞠は幸せそうに笑みを浮かべる。
「温泉は、もっと暖かいよ」
「うん。すっごく楽しみなのー!一真は楽しみ?」
「まあな」
この笑顔が鞠本来の笑顔なんだろうな。この笑顔が消えない様に頑張らないとな。そんなことを考えていながら、のんびりと進ませる。そんな調子でゆるゆると馬を進ませると、あと少しで目的地であった。
「一真ー。道、合っているの?」
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