第四章
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第四章
「よくあの娘と一緒にいない?」
「そうかしら」
由美子は恋人の問いに素っ気無く返した。
「別にそうは思わないけれど」
「いや、実際に」
だが幸平はそうではないと返した。
「御前何だかんだであの娘と一緒にいるじゃないか」
「今はいないわよ」
「そうだけれどさ。何か」
「部活だから仕方ないじゃない。変なこと言うわね」
「いや、別にそんな変なこと言ってるつもりはないけれどさ」
幸平は少しむっとして返す。
「俺だって。気になるし」
「妬いてるの?」
「そんなわけないじゃないか」
そうは言ってもその口は尖っていた。
「大体彼女女の子だし」
当然と言えば当然である。だが幸平はあえてこう言った。
「妬くとかそんなのは」
「だったらいいじゃない。それを言われたら確かに一緒にいることも多いけれど」
仕方なさそうにそれを認めた。
「けれどそれは」
何故か自分に嘘をついているように思えた。
「部活の先輩と後輩だから」
「それだけだよな」
「勿論じゃない」
そう言い切った。けれどやはり幸平にも自分にも嘘をついているように思えた。これが非常に不思議であった。
「他に何があるっていうのよ」
「いや、そう言われるとさ」
幸平の方も弱った。
「何もないけれど」
「そうでしょ!?こっちだってそうよ」
しかしやはりと言うか心の中では引っ掛かるものがあった。
「それだけなんだから」
「そうだよな。悪いな、変なこと聞いて」
「いいけど」
「それじゃあ映画でも行こうぜ。丁度今チケット二枚持ってるしさ」
「どんな映画?」
「ハリウッドの最新作なんだけどさ」
「あっちは最近派手なだけの映画ばかりよ」
「今度のは違うで。しっとりとした恋愛ものさ」
「恋愛もの」
それを聞いてまた何かを思った。
「そうなの」
「?嫌かい?」
「いえ」
だがそれには首を横に振った。
「恋愛とかそういうの嫌いじゃないから」
実は好きな方である。家にも恋愛小説やラブコメものの漫画が一杯ある。暇な時はそればかり読んで過ごす程だ。
「それじゃあいいよな」
「ええ」
しかし何故か一緒に行くのなら別の人の方がいいように思えた。そしてそれは。
(そんな筈ないわよね)
ふと心の中に浮かんだ人をすぐに否定した。
(そんな筈は)
だがどうしてもそれは消えない。それがとてももどかしかった。
しかしれでも何とか振り払った。そして幸平と一緒に映画館に向かった。表面上は何でもないかのように装って。けれど何か後ろめたかった。まるで浮気をしているような感じであろうか。由美子はまだ浮気というものはしたことがなかったがそれでもそんなふうな心境であった。
そんな二人を後ろから見る少女がいた。他ならぬ杏
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