十八章
今の越後×夜の悩み相談
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いよ明日で三日目だ。調査も大詰めだろう。ころが調べているときでも、小型偵察機で調べているだろうし。黒鮫隊が。俺達で調べられるのは、出来るだけ調べておきたいな。ご飯を食い終わったあとに俺は空を船に戻ると言ってから、風呂に入る。そして、偵察機や調べてくれたことを報告書で見たあとに宿に戻ってきた。そしたら。俺達の部屋の障子が開いていた。そこに座っていたのは鞠だった。
「鞠、どうした?」
「あ・・・一真。戻ってきたの?」
「うむ。どうした、寝られないのか?」
「・・・・・・・」
俺の問いに、鞠は静かに笑うだけ。でもその笑みは、いつもの笑みではなかった。どこか胸の奥で締め付けられるような感じであった。
「・・・・・・・」
いつもとは違う様子で、夜空を見上げていた。俺は鞠が座っているところに座る。俺と鞠は黙ったままだったけど。
「なんだかね・・・・」
まるで独り言のような感じで、小さな声で紡ぐ。
「昔の事、考えていたの」
普段と変わらずの声音だが、少し悲しみが入ったようなものだった。
「昔というと、駿河にいた頃か?」
「・・・・・・・・うん」
小さく頷く鞠に、俺は質問をする。
「どんなことを思い出していた?」
「独立しちゃった葵ちゃんのこととか、東の北条のお姉ちゃんの事とか。信虎おばさんの事とか・・・・」
相模と駿河は同盟をしていたんだったな。鞠は、北条と面識あるんだったな。
「お母さんがいなくなって、でも駿河を守らなきゃって思って、その事だけを考えていたけど・・・・気が付いたらみんな。鞠の側からいなくなってたの・・・・。鞠、おかしいの?」
「昼間、綾那が言った事なら、気にしなくていいんだよ。それに俺の部下も来てくれたのだから」
「あのね。綾那の目、鞠から離れていった皆と同じだったの・・・・。一真が何とかしてくれたから、綾那とも仲直りできたけど・・・・。一真がいなかったら、綾那も鞠から離れていっちゃった気がするの。どこで間違ったのかなーとか、どうしてダメだったのかなーって。・・・・ずーっと考えても分かんないから、鞠がおかしいのかなって思ったの」
それで、落ち込むような感じだったのか。鞠もこんな想いを抱えていたのか。
「でもな・・・・・」
「うん・・・・・」
「俺は駿河にいた頃の鞠を知らんから、今の鞠のことしか言えんが、鞠は駿河でも、一番正しいと思って行動をしたんだろう?鞠が出来る全力で」
「・・・・うん」
ふむ。鞠の守護者から聞くにそういうことらしいな。
「だったら、それは間違っていない。おかしい事なんて何もない。人間の道はな、枝分かれしているんだ。他人にとっては、正しくないのかもしれないけど、自分や家臣や仲間
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