十八章
探索二日目×神の怒り
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は、一枚の穴あき銅貨。それは表の文字も判別できないような擦り切れたびた銭だったけど、受け取った鞠の笑顔は満開だった。
「ありがとうなの!」
そんな笑顔を向けられて恥ずかしかったのか、驚いたのか。女の子は顔を真っ赤にすると、そのままぱっと駆けだしていった。
「一真一真!おひねり!鞠、あんなちっちゃい子からもおひねりもらっちゃったの!」
「良かったな!あの子も鞠が受け取ってくれて、喜んでくれたみたいだよ」
「うん。とっても嬉しいの・・・・。ねえ、一真。これ・・・・」
「・・・・いいよ。それは鞠の物だ」
「いいの!?」
「無論だ」
そもそも俺たちは金を稼ぎに来たわけではない。その一文銭は、鞠にとっては一文どころか、お金に変えられない価値があるからだ。
「えへへ。嬉しいのー」
「うらやましいのです。綾那もさっき足軽の人から貰ったおひねり、別にしとけばよかったです」
「あげないの。これはね、鞠の宝物にするの!」
「そうだな。さてとぼちぼち撤収して、市場で情報を集めに・・・・・」
行くかと言おうとしたら、そのときだった。
「この、無礼者がっ!」
・・・・そんな男の叫びと、か細い悲鳴が町の通りを駆け抜けていったのは、目の前で起こったことに一瞬で判断し、死神を来れるように準備した。
「え・・・・・」
綾那と鞠は、一瞬理解が出来ていなかった。
「あ・・・・・」
人相の悪い男と、彼の握る血の滴る刀。そいつの足元に崩れ落ちていたのは・・・・・。さっき鞠におひねりをくれた、あの女の子の無残な姿だった。
「ああ・・・・・・」
ここにいる兵の仕事は、罪のない町人を引っ立てたり、無礼打ちされた亡骸を運んだりと。綾那の情報では、ちゃんと聞いていた。それにちゃんと理解もしていたのであろうが。
「ああああああ・・・・・・・・っ」
目の前で行われたそれは、想像を超えた感情的で、理の通らない仕打ち。
「(死神、準備はいいか)」
『(へい!いつでもいけますぜ、旦那!小さい女の子の命を消したあの野郎は許すわけにもいかないです)』
で、俺の隣にいた綾那は前に行きそうだったので、止めた。
「・・・・待て、綾那」
銃のように放たれた弾丸みたいに行きそうになった綾那の身体を押さえた。
「何でですか!何で止めるですか!一真様!」
綾那の咆哮の意味も分かるし、理解も納得も共感もできる。
「これはお前の仕事ではないし、綾那が行くと敵だと思われて俺達の任務は失敗する。耐えろ」
小さな子供があの武士の足にぶつかって、ただそれだけで切り捨てられた。
「でもですね!」
それでも前にと行こうとする綾那だった。
「
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