十八章
春日山探索初日
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
大きな音を立てて、視線をこちらに向けた。所謂爆竹だけど。
「へいへーい!ここに現れた俺ら一座は、数々の芸を習得しながら旅をしている者!はるか西方から来たこの小さき童は軽やかな芸を仕込んだ者!またはこの私も数々の珍芸を致す。お代は見てのお帰りでございまーす!!!」
とりあえず爆竹やちょっとした花火や俺の口上で、町を歩いていた人たちが少しずつ集まってくる。
「やあやあ!」
「さあさあ!もうすぐ始まるぞー!見ないと損するぞ!御用とお急ぎでない方は、見てってくだせぇ」
「やあやあ!」
そこそこ人も集まってきたな。綾那も元気よく観客に手を振り返してて、場の雰囲気もそれなりに盛り上がっている。
「綾那!出番だぞ。手振っている場合じゃねえだろ。というか何をするんだ」
綾那は何をやるのか分かっていないのか、ただポーズをするだけだった。ヤジが飛んできたので、しょうがないから俺が代わりにやるとした。
「綾那、お前は今日は見学。芸の手本を見せてやるから」
「分かったです!」
俺は後ろから一回転をしてから、二本の扇子を出した。
「さて、これは何の変哲もない扇子だ。そこのお客さん、そうあなただ。この扇子が何も仕掛けがないか触ってみてくれ」
「おう、わかったぜ。兄ちゃん」
観客の一人に、扇子を渡してから何もない事が証明されたので、お客さんに返してもらった。
「これはただの扇子だが、私が使うとこうなる。ほいよっと!」
言っては扇子を上に向けると、水が飛び出した。まあ水芸かな。扇子から出た水に驚きながらも、仕掛けがあるんじゃないかと見る観客たち。扇子を片付けて今度は手のひらから火球を出した事に驚く観客。
「まだまだ増えるぞー!」
投げては増えて投げては増えて、そして火球のお手玉をした。そしてその火球を全て口の中に入れた。
苦しみながらという芝居をしながらの、空に向けて龍の息吹ならぬ火炎放射をした。
「おお・・・・・・・・っ!」
「すげぇーぞ、兄ちゃん!!!!」
「一真様、凄いです!」
辺りは拍手で一杯になったので、今度は鞠の番だ。
「次はこの子による蹴鞠による芸です!鞠、行け!」
「はいなの!行くの!」
といって、いつの間にか鞠を出した。
「おお・・・・・・・っ」
「はーいっ!」
俺が放り投げると、天高くから落ちてきた蹴鞠は、ひょいと伸ばした鞠の足に、吸い付くように乗っかった。
「やっ!」
元気よく振り抜かれる足から落ちることなく、再び空へと舞い上がる。
「お次は・・・・えーいっ!」
蹴鞠が宙に浮いてる間も、鞠の動きは止まらない。楽しそうなステップを踏めば、大きな袖口や長い裾がひらひらと舞ながら鞠の
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ