十八章
春日山探索初日
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
動きに従っている。
「ふわ・・・・すごいのです」
最近は一真隊の皆と蹴鞠をしている事が多かったからな。鞠の一人蹴鞠を見るのは久しぶりだ。
「今度はこっちから・・・・」
背後に落っこちてきた蹴鞠を、後ろを見もせず華麗に蹴り上げ、その場でくるりと半回転。
「こっち、なのっ!」
蹴鞠が正面に落ちてきた時には、鞠の向きは反対になっている。背中側でさっきと同じように一度蹴り上げた鞠は、再び後ろから上空に飛んでいくのかと思いきや・・・。
「え、あれ、なんで?」
蹴鞠が上へ飛んだのは、鞠の前からだ。足で蹴鞠を受け止めて、そのまま股下をくぐらせたのだろう。
そうとうテクニックを持っているな、鞠の奴は。まあそういうのを一瞬でやるのは手品しか見えないだろうし。
「おおおーーっ!」
「兄ちゃんも嬢ちゃんも、すげーぞっ!!!」
「ふふっ。今度はこんなのもやっちゃうの!」
「やれやれーっ!」
「むーっ。なんだか一真様や鞠様ばっかり目立っていて、ずるいのです!」
「じゃ、綾那!この鞠、取ってみるのーっ!」
「よーっし!なら、取ってみせるですよーっ!」
そう言って元気よく飛びかかった綾那を、鞠はひらりひらりと躱しはじめる。しばらくしたあとに、最後のシメとして俺が横笛を吹きはじめると同時に鞠も舞を踊り始めた。そして吹き終えると同時に舞を踊るのを止めると周りから拍手で一杯だった。
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
芸を終わらせたあとに、箱を持っているとおひねりが飛んでくる。
「面白かったぜ、兄ちゃん!ところで、火の球と水のあれは仕掛けあるのか?」
「ありがとうございます!仕掛けなどありませんよ、お客さん。あったらとっくに誰でもやってますよ」
綾那のブーイングのせいで、一時はどうなるかと思ったが俺の水芸と火球によるジャグリング。そして、シメの火炎放射。その後に、鞠の蹴鞠と舞のおかげで初めてではあったが、うまくいった。まあこういう芸で稼ぐのも悪くはないけど、目的が違うしな。でも高評価なら、達成感はあったな。今回は俺と鞠で何とかなったが、次こそは綾那にもいいところを見せてほしいところだ。
「可愛かったよ、ちっこい嬢ちゃん」
ひらひらした裾を両手で品良くつまみ上げ、鞠もその中におひねりを入れてくる。
「ありがとうなのー!」
あの可愛らしさなら、思わずおひねりを入れるな。きっと。
「あんなの見た事なかったよ。また見せてくれよな、あんちゃん!」
「ありがとうございます。今度見せる時はまたするから、また来てくださいねー!」
と言いながらおひねりを回収していた。俺のは芸ではなくて精霊たちの力だしな。
「鞠もお疲れさん」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ