十八章
春日山城下潜入
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」
「じゃあ、俺と綾那は町内をだな。小波は言わんでも分かるだろ」
「はっ。昼の間に春日山城周辺の様子を探ること。城内については夜、忍び込みましょう」
「よろしい。あとは鞠だな」
「鞠はどうすればいいの?お猿さんになるの?」
「む、ずるいのです!お猿は綾那がやりたかったですのに!」
「猿はなしだ。鞠はこの手の任務は初めてだろうから、俺達と一緒に町の探索の方がよさそうだな」
「それが良いと思います」
「町を調べればいいの?」
「うむ。俺が香具師の座長兼芸人で、綾那は軽業師だろ。だとすれば鞠は・・・・」
「芸人にしては気品がありすぎやしませんか・・・・?」
「気品がなくて悪かったです!どうせ三河の山猿ですよ綾那は・・・・。やっぱり・・・・」
「猿はもうええねん!」
「白拍子などは見目麗しい者も多いですから、鞠様が香具師に混じっていても問題はないかと」
「白拍子!静御前みたいなの!」
なるほどな。舞を踊る人のことか。確かにそれなら違和感ないな。
「じゃ、鞠は踊り子の見習いという設定でいこう。・・・・小波、この町で気になる事や注意した方が良い事はあるかい?」
「諜報活動では、香具師や旅の商人などが変装の定番です。さすがに武士たちもその辺りの事情は分かっていますので、絶対に安全という事はございません。ですので・・・・」
前置きにして小波が懐から取り出したのは、二通の書状だった。
「それは?」
「上野国、箕輪城主・長野業政殿ご発行の、山内上杉家ご当主、憲政様宛の書状になります」
「例のお飾りの上杉家ですね」
「はい。内容は、この書状を持つ人物の身分保障と、憲正様の無聊を慰めるための興行の保障願いとなっております。町に入ってお気付きになったでしょうか、辺りには兵達の目が光っています。しかしこの書状さえ提示すれば、町中で尋問を受けても切り抜けられるでしょう」
「長野業政殿の?よくそんなの手に入られましたね」
「もちろん本物ではありません。ですが、長野殿は上杉と関係の深い方ですから、許可の出所としては珍しくはないかと」
「何かあったときは、この書状を、控えおろー!って出せばいいです?」
「まぁそうですよ。あくまで偽造ですので、精査されると見抜かれる可能性もありますから」
「では俺がこの書状を本物にしておこう」
といって、二通の書状に向かって手をかざした。書の神を呼び、長野業政のようにして書いてもらった。そしてしばらくしてから、手をかざし終えると俺は息を吐き終える。
「これは!本物の書状じゃないですか!」
「そうだ。書の神を呼んで長野業政が書いたようにした。あと、長野業政の記憶も操作して俺達に発行させた
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