十八章
春日山への道×長尾家の事
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。ちなみに通信機からも録音モードにした。
「うむ。まあ、実のところどこにでもある、つまらんお家騒動なのじゃがな・・・。元々越後は、上野に本拠地を置く関東管領・山内上杉が外戚の越後長尾氏を守護代に命じて治めておった。ここまでは良いか?」
「この前の京で教えられたよ」
将軍の下に関東の管理組織があって、そこの要職の一つが関東管領。その下にあるのが地域ごとのいわゆる支部長が守護。ただし、守護は京務めで忙しいからと、現場には支部長代理の守護代というのが置かれている。幕府がグダグダな今は、京にいた守護は実質無力化している。力を付けた守護代や国人衆とかの雑多な勢力が、やりたい放題にやっているという状況。ここらへんは京にいたときや黒鮫隊の者たちから教わった。
「じゃが、その関東管領の山内上杉氏は、相模の北条や武田から散々に攻められての。甲相駿の三国同盟の影響もあった上野の大半を失い、越後長尾に頼る羽目になった」
なるほど。当時の駿河は今川勢力であったか。腕の中の鞠を見ると、鞠も神妙な顔をして一葉の話を聞いている。
「管領が守護代に助けられるようじゃ、おしまいです」
「まったくじゃ。その後の山内上杉は越後では飾り物での。貴人として持ち上げられてはおるが、実際の権力は相も変わらず守護代の越後長尾が握っておる」
「まさに下克上ですぁ・・・・」
「その越後長尾が美空の家ね」
「左様。で、ここからが本題じゃ。管領を床の間に据えて実権を握った長尾家じゃが、当時家督を継いだのは美空の姉の晴景での。こやつが少々使えんかった。もともと耕せる土地も少なく、荒武者揃いの越後だ。使えん晴景では豪族どもを押さえきれず、来る日も来る日も戦の日々であった」
「で、そいつらを担ぎ出されたのが美空か」
今の時代は戦国時代だからな、トップがお飾りや使えん者でさらに不安だと、他国から攻められる可能性は大だ。だったら、今のリーダーを追い落としてでもしっかりしたリーダーが欲しいという気持ちは当たり前だ。
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