十八章
春日山への道×長尾家の事
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とそうです!ね、一真様!」
「そうだと思うよ。出立の挨拶に行った時も、皆の事を心配してたんだから」
「そうですね・・・・」
それでも、歌夜は色々と思う所があるのだろうよ。葵という名前で色々考え事をするのは、悪い癖というより事かな。こういう風に悩む歌夜たちを見るとな。
「一真様もありがとうございます。今は目の前のことこそ、重要ですから。・・・・集中します」
「うむ。だが、無理だけはするな」
俺の心中を察したのか、歌夜は弱々しいながらも、優しい笑顔を見せた。その言葉を受けただけでも、今やることについて頭を切り換えなければな。
「一葉!」
声を掛けると、前にいた一葉はちょうど幽やころ達と話し込んでいる所だった。
「なんじゃ?主様」
「美空の事。長尾家のことを詳しく教えてほしいのだが。いいかな?」
今までも美空や秋子から断片的なことだらけで、あんまり知らないんだよな。ここでの長尾家は。一応史実というか、歴史上では知識だけは知っているが、史実と違うし、それに女の子でお家流を使うという設定は史実にはないしな。
「はい。私もちょうど、その事を一葉様にお聞きしようと・・・・」
「流石だな。助かる、ころ」
「えへへ・・・・」
「なら、綾那も聞いとかないとね」
「えー。お勉強ですかー?」
「必要なことだし、重要な事だ。鞠も起きろ、お勉強の時間だ」
「んみゅぅ・・・・・わかったのー」
「後は小波だな・・・・」
そう言いかけたら念話が飛んできた。小波だった。
「(・・・・ご主人様)」
「(気になる事でもあったか?)」
「(いえ、進路上に春日山の草は見受けられません。そちらは問題ないのですが・・・。自分はこのまま春日山に先行して、城下に拠点を作っておこうと思います、お許し頂けますか?)」
「(こっちは今から一葉が、美空や長尾家について聞くが聞こえるよな?)」
「(はっ。お守り袋を通じてこちらにも聞こえます)」
まあ、小波の場合はこの辺りの事知ってると思うしな。
「(許可する。どこかの旅籠に拠点を置いて、4〜5日くらい、滞在して探る予定だ)」
「(かしこまりました)」
「(くれぐれも無茶だけはするな。いいね)」
「(承知!)」
それきり、小波の声は聞こえなくなる。
「小波さんですか?」
「ああ。敵の影がないから、このまま春日山城下まで先行すると」
「さすが小波さんですね。助かります」
「主様。もう良いか?」
「悪い悪い。小波も聞いてるからだそうだ。なので頼む」
梅や歌夜たちも、一葉の声が聞こえる距離まで馬を進めていく。それをぐるりと見届けて、一葉はゆっくりと話し始めた
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