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文花の鬼時間
文花の鬼時間
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子はあの女の子を助けに来たというのだろうか?
男の子はしっているはずだ。
この空間、鬼時間というのは子供が見る悪夢であり鬼に捕まらず脱出すればその者に大きな成長をもたらすが、もし捕まっても何も成長出来ないだけで危害は全くない。
ということを知っているはずだ
なのに何故、男の子は来た?
何故いつもの様に怯えず攻撃を加えてくる?

そんな事を思っていたらいつの間にか鬼は二人を追い詰めていた。行き止まり。
どうやら道を間違えたらしい。
追い詰められてなお男の子は女の子を庇うように前へ出た。
鬼が不気味に笑う

「小僧」

「しゃべった!?」

「何故」

鬼は男の子に先程の疑問を問う。
男の子は答えた

「知っているから・・・この空間がどんだけ怖い場所なのか知っているから!例え危険がなくたって、目を覚ませば忘れるとしても、好きな子が泣いたり怯えたりするなんて絶対に嫌だから!!俺は来たんだ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

男の子はいい目をしていた。迷いのない強き瞳
人間というのは守るべきものがあるだけでこんなにも強くなれるものなのか。
面白い。これだから人間というのは面白い。閻魔様が気にかける訳だ
鬼は胸の奥が熱くなるのを感じた。
が、それもここまでだ。
鬼が持つ金棒、振れば確実に当たる距離。逃げ場がない。
当たれば二人は吹っ飛びベッドの上で目を覚ます。
どんなに守りたくてもここで終了だ。

本当によくやった
鬼は心の中で男の子を称賛した。
多分また会うだろうその時を楽しみにしてるぞ
と金棒を振るった。
二人まとめて直撃。

「!?」

二人の姿が歪んだ。
ぐにゃぐにゃに歪んで消滅した。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

消滅?
そんなこと有り得るはずがない。
ここから出る方法はこの金棒で弾き出されるか出口からでるかのどちらかだけだ。
違和感。
それに気付いた時、みちびきの咆哮が聞こえた。

閻魔直属の部下である鬼は本来、妖魔界の番人をしている力自慢ではあるが決してバカではない。
瞬時に鬼は理解した。
あの二人は幻だったのだ。
そんなこと出来るのはアイツしかいない
鬼はばっと空を見上げる。
いた。奴だ。
まぼ老師。

まぼ老師は鬼にバレたことに気付くとそそくさと退散した。
ホロホロ〜
あの時、ウィスパーが鬼に突っ込んで行った時、景太が召喚した妖怪こそまぼ老師だった。
景太はまぼ老師に自分と文花の幻を鬼に見せ引き離す様にお願いしていた。

まんまとヤられた・・・
だがあの時、あの問いに答えた時の男の子には強い意志を感じた。幻にあるはずがない意思があるかのような強い意志を。

まぁ今はそんなことどうでも
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