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文花の鬼時間
文花の鬼時間
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ある日のこと。
木霊文花は夜の町を走っていた。

「はぁっ、はぁ。なんなのよっ!もぅっ!!」

文花は追われていた。鬼に追われていた。

「なんで、こんなっ・・・・」

何がどうなってこうなっているのか、文花は自分の現状を理解できないでいた。
走りながら酸素が足りない頭で今日1日を思いだし考えてみる。
朝起きて、ご飯を食べ、学校に行き、学校が終わると寄り道もしないで帰宅して宿題をし夕御飯を食べてからお風呂に入り、テレビを観たりした後、夜の9時には歯みがきして就寝した。
いつも通りの普通の1日だったはずだ。
それが何故、気がつくと夜の町にいて鬼に追われるはめになったのか。全くもって分からなかった。
確かに文花は普通の人に見えないものが見えたりすることもある。だがこんなにはっきりと見えたり、まして追いかけられたりなんてことは今まで一度もなかった。

文花は走る。よく分からないが少なくとも話の通じる相手じゃない。捕まったら終わりだ。

「はぁっ、はぁ。誰か、誰か居ませんか!?助けて下さい!」

そう叫ぶも返ってくる返事はない。不思議なことに辺りに人は一人もいなかった。
さっきコンビニに入って助けを求めようとしたがコンビニに入れなかった。追われている最中、中を覗く暇はなかったが人の気配がしなかった。もしかして今この町には人はいないのか?
そんなありえない不安が文花の脳裏を横切る。

「はぁっ、はぁ」

文花の体力はとっくに限界を超えていた。それでも文花を走らせるのは恐怖心。それと文花は知らないが、さっき鬼を大きく引き離せた時に、喉が乾いて飲んだスタミナムと書かれた栄養ドリンクのお陰だった。
ポケットに入っていた身に覚えのない栄養ドリンク。飲んで大丈夫かと思ったが恐る恐る飲んで正解だった。

「はぁっ、はぁ、こ、ここなら」

文花は道の角を曲がると同時に停まっていたトラックの下に潜り込んだ。

「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

文花を見失った鬼が吠えた。
すぐ近くのトラックの下に隠れた文花は怖くてびくびくと震える。
ざっざっざっという足音と共に鬼の赤い足がトラックの下から見えた。
辺りを見回し文花を探しているようだ。
ほどなくして鬼はその場から離れていった。
文花は鬼の足音が遠くなっていくのを聞いてホッと胸を撫で下ろす。

(このままここに隠れてやり過ごすしかないよね。朝になったらきっと誰か通ってくるはず)







トラックの下に隠れて何分経っただろうか突然ゾクッと寒気がした。
後ろの方、文花の足元から。
怖い、見たくと思いながらも勇気を振り絞りそぉーっと視線を動かす。

「!?」

鬼がいた。ちっちゃい鬼が。小鬼。
文花は知らないがみちび鬼とい
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