第一章
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決して見せない顔であった。後輩には見せない顔である。
「これでも優しい先輩なんだから」
「どうだか」
だが幸平はそんな彼女をからかうのかわざと疑うような顔をしてきた。
「実際はどうかわかったもんじゃないよな」
「意地悪ね、それにあの娘はいい娘なんだから」
彼女は言った。
「いじめたりなんかしないわよ」
「さてさて」
そんな話をしながら学校から帰って行った。その後で着替え終えた杏奈が部室から出て来た。実はもう着替え終わっていたのだが由美子が立ち去るまで部室で待っていたのだった。
「もう行ったかな、先輩」
彼女は部室の扉から外を覗いて辺りを覗った。
「やっぱり。お邪魔したら悪いからね」
彼氏と待ち合わせている由美子に気を使ったのである。もういなくなったのを確かめてからそっと外に出る。
もう残っているのは彼女だけであった。鍵を閉めてそのまま鍵を職員室に返しに行く。その途中でふと思った。
「私も。先輩と一緒に帰れたらなあ」
由美子が幸平と一緒に帰っていたことを思い出したのである。
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