番外編 泪に濡れる・マイ・ウェイ
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俺はパソコンを使って作業中であったが、電話は手の届く場所に置いてあったためすぐに電話を拾い上げる。
相手は誰かと画面を確認してみれば篠ノ之箒の文字が表示されていた。
なんの用事だ? なんて思いながら電話に出てみれば、
『お前にしか頼めないことがある。今すぐ私の部屋に来てくれないか』
とのことだった。
なんとなく嫌な予感が頭をよぎる。
が、俺にしか頼めないということだし、取りあえず俺は箒の部屋に向かうことにした。
箒の部屋の前に到着した俺はドアをノックすること数回。
しばらく待つとカチャリと音がし、ゆっくりとドアが開き始める。
ドアの隙間からは箒が顔を覗かせた。
見れば、箒は料理でもしているのか白い割烹着を来ている。
「入ってくれ」
の言葉と共に大きく開かれたドア。
その開かれたドアの内側にあった光景は、部屋の入り口に立つ箒の姿と、その奥に青いエプロンをつけたセシリアの姿だった。
入り口近くにあるキッチンからは空気を吸い出すような音が聞こえてくる。
「オゥ、ジーザス」
の言葉が俺の口から漏れたとしても仕方のないことだろう。
エプロン姿のセシリアは俺の顔を見るなり笑顔で挨拶してくる。
「あら? お客さまはアーサーさんでしたの? こんばんわ」
「良い夜だな、セシリア。今日は箒に用事があってな、それで来たんだ」
「そうでしたの。それでしたらそんな所にいないで早く部屋にお入りになってはいかが?」
「そうさせてもらうよ」
俺は部屋に足を踏み入れると、箒の腕をおもむろに掴み部屋の奥へと強引に引っ張って行く。
そして俺は箒に顔を寄せるとセシリアには聞こえないだろう音量で話し出す。
「これは、どういうことだ?」
「どうもこうもない。アーサーにセシリアの料理を試食してもらう」
「悪いが帰らせてもらおう」
俺は箒に背を向け部屋を出て行こうと足を動かし始めると、腕を引っ張られ再び部屋の奥へと連れ戻される。
「なにをするんだ、箒」
「お前が昔好きだった女子が困っているんだ、少しは力になってくれてもいいのではないか?」
それをここで言うのか。
俺が箒を好きだったというのを箒は今だに信じているようだが、それは誤解だ。
誤解だったとしても、あの時の箒は俺を振ったという事実を一夏に見せることで自分が好きなのは一夏だとアピールしようとしたんたろうが、当の本人は気づかずじまい。
他の女子は胸を撫で下ろしたことだろう。
箒にしてみればガッカリ感がハンパなかったろうな。
「なぁ箒、セシリアが料理を作っているのはどうせ一夏に食べさせるためだろう? だったら
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