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Fate Repeater 〜もう一人のクルスニク〜
一話:男の思い
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かないんだよ!!!
だから―――

『俺は自分の選択に後悔しない!!!例え世界を―――兄さんを殺すことになっても!!!』

光に包まれ骸殻になる……スリークウォーター……俺の意志に反応して進化したのか…。
槍を構えを兄さんを貫くために駆けだす。当然、兄さんなら反応してくると、俺に反撃してくると思っていた。でも………

『そうか……なら…もう武器はいらないな。』

そう一言つぶやくと兄さんは手に持っていた剣を捨て、俺の攻撃を受け入れた。
何度となく感じたことのある肉を貫く感触、槍を伝い流れてくる生暖かい血……なんで?
なんで?兄さんは避けなかったんだ?どうして武器を捨てたんだ?

『ルドガー……俺はお前のことを見くびっていたよ。』

槍に貫かれながら俺の体に寄りかかり、かすれる声で話しだす兄さん。

『お前は…優しいから……世界を…人々を…犠牲にしてまで…大切な物を守れば……必ず後悔すると…傷つくと思っていた……。』

何を……何を言っているんだ?兄さんは。体を震わせながら兄さんの顔を見る。
なんで…俺に殺されようとしているのにそんな優しい目で俺を見てくれるんだ?
どうしてだよ…どうしてだよ!?兄さん!!!

『だから……俺は…お前に…父親殺しを…させたくなかった……世界を見捨てさせたく…なかった……。』

俺の為に?どうしてだよ……どうして俺なんかの為にそこまでしてくれるんだよ!!?
俺はみんなを……兄さんを殺したんだぞ!!?

『ずっと…子供だと……俺が武器を持って守ってやらないと……そう…思っていた。だが……お前は……もう…守る側に……なって―――ガハッ!!』
『兄さん!!?』

骸殻を解き、血を吐き出し今にも崩れ落ちそうな兄さんを支える、そして露わになった右腕を見てゾッとする……黒ずんだ腕……時歪の因子化(タイムファクターか)がここまで……俺を守る為に……っ!!
兄さんはずっと傷ついてきたって言うのかよ!!!なんだよ…!!なんだよ、それ!!?

『俺の……時計を…持ってけ……お前の為なら……ボロクズに…なるまで……使ったって構わない……。』

震える手で俺の手に傷だらけの時計を押し付けてくる兄さん。
そうだ、最初から兄さんは……裏切って何ていなかったんだ。
……俺の為に全てを捧げて…!!頬を熱いものが伝っていく感触が止まらない……。
兄さんは俺の事を…最後まで…!!!

『お前は……お前の世界を…作るん…だ………』
『っ!?』

かすかに聞こえてくる鼻歌……これは……証の歌…?
かすれながらも……最後の一瞬まで俺の事を思って歌ってくれる……歌。

絶対に聞き逃さない…!!兄さんの最後の歌を絶対に聞き逃さない!!!
俺を世界で一番愛してくれた兄さんの最後を
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