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パープルレイン
第二章
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あったのだ。牛肉のものであり重厚な肉汁がソースと絡み合っていた。
「食欲があって」
「ダイエットにも気を遣っていたんじゃなかったの?」
「それ以上にお腹がすくのよ。もう動けない位に」
「学生じゃあるまいし」
「そうね。学生の頃に戻った気分」
 彼女は言った。
「何をしても。元気が有り余って仕方がないのよ」
「それもこれも生活に張りが出て来たからだね」
「そうね」
 それを認めた。
「そこまで変われるんだったら何か知りたくなってきたな」
 丈はナポリタンにチーズをかけながら言った。真砂子はハンバーグを切り、それを口に入れている。口の中に肉の旨味が広がる。ソースの濃厚な味と合わさり真砂子の口の中を支配した。
「一体それが何なのか」
「言う程のことじゃないわよ」
 真砂子はその切ったハンバーグを口の中に入れ終えた後で答えた。
「些細なことだから」
「どうだか」
 丈はその答えに対して冗談めかした声で返した。
「本当は凄いことなんじゃないの?」
「知りたいの?」
「否定はしないね」
 そしてこう返した。
「一体どんな恋をしているのか」
「じゃあ言うわ」
 真砂子は悪戯っぽく笑って応えた。
「プラトニックラブよ」
「プラトニック」
「そうよ。ただ見ているだけ」
「それでそこまでなれるのかね」
「貴方はそんな恋はしたことないのね」
「こんな性格だからね」
 軽い調子で言う。
「大人の恋は幾らでもあるけれど」
「若い恋はなし」
「その若い頃からね。幸か不幸か」
「まあどれがいいとは言えない話ね」
「そっちもそうなんじゃないの?」
 丈は言った。
「そんな恋は」
「学生の頃はあったわ」
 彼女は言った。
「あの頃は若かったから」
「今は違うの?」
「あの頃に近付いていってるかもね」
 そう言ってにこりと笑った。
「少しずつ」
「それはいいことで」
 そう言いながらスパゲティを口にする。
「けれどそれは思い違いだと思うよ」
「どういうことかしら」
「近付いていっているのは少しじゃないと思う」
 丈は言った。
「かなりね。傍から見てもわかるよ」
「お世辞かしら」
「そうとってもらっても別に構わないよ」
 笑ってこう述べる。
「僕が思っているだけどね」
「まるで口説くみたいね」
「大人の女の人を口説くのは得意だけれどね」
 ここで紅茶を飲んだ。アイスレモンティーである。
「けれど若い人は得意じゃないんだ」
「私が若いって?」
「気がね」
 そしてこう答える。
「今の君は前と違うね。ハリがあるよ」
「あら、ハリは前からあるわよ」
「若さが加わったってことさ」
「若さがね」
「そのまま元気になっていったらいいさ。きっといいことがあるから」
「それ
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