十七章 幕間劇
心の天秤
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けど、小波は俺と葵の考え方が違うからパニックを起こしているのだろう。葵は簡単に命を捨てる者だが、俺は違う、生きて未来を切り開けと簡単に命を捨てるなとな。あと忠誠の強さでその相剋も深いだろう。
「たぶんだけど、俺と葵は矛盾はしていないだろう。どっちも小波を大切にしている。葵は小波を捨てたりはしない。この戦が終われば、葵は小波を迎えに来るだろう」
「・・・・うぅ」
「大事な主人なんだろ。小波が信頼しないでどうするよ」
「・・・・(コクッ)」
「戦え、でも死ぬために戦うのではなく生きるために戦え。それで、戦が終われば一緒に笑ってくれ」
「・・・・う、うぅ・・・・」
「・・・・俺も葵も小波に望んでいるものは同じはずさ」
そうなってほしいのだが、実際はそうでもないかもな。家康がずるがしこい。実際は家康の家臣の本多正信らしいが。
「・・・・はい・・・・」
ちぎれそうなほど握りしめていた小波の力がわずかに緩む。
「でもな・・・・」
「・・・・?」
「もしも葵が返せと言ってきても、返さないからな」
これは本気だ。葵が見限られるという事を前から察知している。
「そ、そそ、それは・・・・」
とか言いながら、笑みを浮かばせてからずっと抱き着いた。
「少しは落ち着いたかな?」
「はい・・・・」
「話してくれてありがとうな」
「・・・(ふるふる)」
草の小波が情報の重要さが分からないはずがない。それでもと、松平衆の内情を語ってくれた。きっと悩みに悩んだ選択だったのだろう。
「大丈夫だ。例え、春日山城攻めが終わって、この戦が終わったあと対立するならば、俺が守ってやるから。それにこの先の未来のことはそういう奴に任せた方がいい。それと俺達は目の前のことをやればいいこと。ただ、それだけだ」
落ち着いた小波に対してこれまでの話をおさらいする。
「小波や綾那と歌夜がいてくれる。それだけでいい。俺だけではなく、一真隊の皆がそう思っているはずだ」
「もったいない・・・・お言葉です」
「これからも、ずっと、力を貸してほしい」
「はい・・・この命捨てじゃなくて、その、頑張ります」
「それでいい。ふふっ」
言いつけを守ったご褒美に、そっと背中を叩く。
「あわわ・・・・・」
「それにしても、小波にはろくな褒美を与えていないような気がするな」
ため息が出る、わざとだけど。
「そんなことはありません。立派な褒美を頂戴いたしました」
「もしかして、あの木彫りのこと?」
「・・・(コクッ)」
「あんなのよりもっとちゃんとした褒美を与えたいんだが」
ただの木屑から作ったから、プライスレスな感じだが。
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