十七章 幕間劇
心の天秤
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な大将でも備えはしておくと思うが。葵や女狐じゃくて悠季ぐらい頭の回転が早いのなら、なおのことだ。その代わりに、松平衆の主戦力である、小波、綾那、歌夜を預けてくれたわけだし」
「それも・・・・・」
小波の表情が曇る。
「どうした?」
「自分たちは遠ざけられたのかもしれません」
「遠ざけるか。確かに葵の考えは見えてこない。忠臣とはもう見えないということか?」
「はい。葵様の目にはそのように映っていないのかもしれません。自分たちはご主人様の近くに居過ぎたようです」
「ふむ。小波たちは葵を裏切るとは思えないな」
「私も同感です。自分や歌夜様に謀反気などございません」
「それは、俺がよく知っていることだ」
「葵様はわずかな虞れにも備えて手を打たれる慎重なお方です」
そういうことだったな、葵は、いずれは徳川家康になるやつで史実では狸親父だ。葵が今まで生きてきてから、考え方は不明だけど、葵はもうこの先を見ているつもりなんだろう。
「葵が目指す世は、武ではなく学問による治世、戦のない平和な世なんだろう?」
「御意。自分や歌夜様、綾那様は謂わば刀。戦が終われば無用の長物。むしろ危険な刃となります。ともすれば葵様は自分達が戦のうちに斃れる事を望まれているのかも」
「仲間を簡単に切り捨てるとは見ていないが、まさか」
「この日の本の未来、大義のためにはそれが出来るお方。そして、自分は松平の草にございます。葵様に死ねと命じられれば、この命すぐにでも捨てる覚悟にございます」
そう言い切ったあと、俺は小波を抱きかかえていた。
「ご主人・・・・様・・・・?」
こうしていたら解決になるかどうかは分からない。今にも崩れそうな小波を見ていたらこうなっていた。
「だからさ、何度も言わせるな」
「・・・・!」
「頼むから、簡単に命を、死ぬとか言うな。小波は葵の家来なのかもしれんが、同時に一真隊の一員なんだぞ。この前言ったろ?俺と葵に均しく忠義を誓うと」
「は・・・・はい・・・・」
「なら、俺の願いも聞けるだろう?」
「う・・・・うあ・・・・」
小波の指が俺の袖を握りしめる。
「う・・・・う・・・自分は・・・・どうしたらいいのか・・・・分かりません。ご主人様は・・・これまで自分が教えられて来たことと、逆さまばかりお命じになります」
「逆さま?」
「草の本分は主のため死ぬこと。その草に対して生きろという命じる主などいませんでした」
「一応、神の性分だ。こちら側から命を与えているんだ、目の前でその命が消えるのはよくないことだ。だから、小波のことも失いたくないという事もだ」
「・・・・うぅっ」
「小波・・・・」
多分だ
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