第一章
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「話がわかる」
「女ってのはねえ、見ているのよ」
そして言う。
「男の魅力ってやつをね。外見だけじゃなくて」
「そうなんだ」
「顔とかそんなのは二の次なのよ。まずは魅力」
「魅力」
丈はここでネクタイを締めなおしてきた。まるで格好をつけるように。
「それよ。それがないと幾つになっても駄目。幾ら顔がよくても駄目」
「逆に言えばそれがあると幾ら若くても大丈夫と」
「ま、まあね」
ここで答える時何故か頬を赤くさせた。
「そこに顔が加われば完璧、かしらね」
「さっき二の次って言ったのに?」
「ステーキだけじゃ足りないでしょ」
これに対する真砂子の返事はこうであった。
「サラダもないと」
「贅沢なことで」
「そういうことなのよ。容姿もあるとなおよし」
「あくまで添え物だと強弁すると」
「そう取ってもらってもいいわよ。どうせ変わらないのだし」
「まあね。けれど平井女史はよく見ていらっしゃる」
「何を?」
「男を。どうやらその御眼鏡に適う紳士が現われたようで」
「紳士って呼べる程じゃないけれどね」
「応援してるよ」
「有り難うと言って欲しいのかしら」
「お望みとあらば。人の恋路は邪魔しないよ」
「恋路とは限らないわよ」
「とぼけてるのかい?」
「さてね。それじゃあ仕事を再開して」
「楽しいお喋りはこの位にして」
「それじゃあね」
こうして彼等はまた仕事に戻った。真砂子は少年に会ってから心まで楽しくなっていた。仕事にも張りが出ていた。何をしても元気が出るようになっていたのだ。そしてそれは彼女の気にしている部分にも現われてきた。
「!?」
また少年を見た。そして家に帰ってシャワーを浴びて浴室から出るとあることに気付いたのだ。
「お肌が」
そうであった。何故か顔や身体の肌の艶がよくなっているのだ。
「ハリも」
弾力も返っていた。水を弾いてすらいた。まるで学生の頃の様に。
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