十七章 幕間劇
隊の様子見×二人の素質
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「一真様!」
そんな悲痛な叫びと共に俺の体にしがみ付いてきたのは、小さな体。俺の体をきゅっと抱きしめ、離さない様に必死で力を込めてくる。
「おやおや。モテモテですな、一真様」
「・・・どうした、ころ」
ひよならいつも通りこんなテンションだが、ころは珍しいな。それに滅多にないことだし。
「・・・・・・」
「黙っていないと分からないよ」
押し付けてくる小さな頭を撫でながらだったけど。
「・・・・・・っ!」
響いてきた足音を聞いたのか、ころは俺から離れた。
「あ、ころ!一真様も!」
「どうしたんだ?みんなで揃って」
俺は左耳に掛けてあった通信機を外して、話を聞こうとした。さっきころが抱き着いたのを悟られないように聞いたけど。
「ええっと・・・・ですね」
抱き着いたことで落ち着いたのだろうな、目元に浮かんだ涙を軽く拭ってから見上げる。
「一真様。やっぱり私、このお二人の指揮を預かるの、自信がないです」
「自信?家柄か」
野武士と武士は、結構気にしている部分でもあるけど。
「はて。一真隊は、そのような身分云々には緩い部隊だと思っておりましたが」
「そうですよ。私たちは一真隊では一番の新参ですし・・・・状況次第では、ころさんは一葉様や鞠様の指揮も行うと聞きましたが?」
「それとこれとはワケが違いますよ。・・・・一葉様や鞠ちゃんはその場の勢いですけれど、お二人は長柄隊だったらいつもじゃないですか。何より、二人とも一騎当千の強者ですし・・・。私より二人が長柄隊の指揮を取った方が・・・」
「何を言ってるんだか、川並衆の棟梁だろうに」
「ええ?ころ、棟梁したことあるです!凄いです!一国一城の主です!」
「棟梁って、国持ちになったわけじゃないよぅ・・・。ただの野武士の棟梁ってなわけで」
「それでも凄いと思うが・・・」
一夜城のときも、活躍したのは川並衆と黒鮫隊スナイパー班だったけど。川並衆があったから、ここまでついて来れたんだし。
「それに前にも言ったが、ころを手放す気はないと言ったよな」
「離れるつもりはないのですけど・・・・」
ふむ。梅のときは、単に役割分担だったけど今回は違うようだ。同じ長柄としてだけど、レベル的にはころより綾那たちが上ということか。
「長柄隊の長はころ殿以外に適役はいないと思いますが」
「俺も幽と同じ意見だ。綾那達が長になると、つっこむ以外ないと思うし。的確に指示できるのはころだけだと思うよ」
一真隊の安定性を見ると、ころの存在は必要不可欠。そのはずだけど、肝心の本人は自覚がないらしいからな。
「・・・何だか賑やかですわね。楽しいお話ですの?」
「梅ちゃあん・・
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