十七章 幕間劇
隊の様子見×二人の素質
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ですね。もう少し強い弓はありませんか?」
「えええ・・・・。それ三人張りの、ウチで一番強い弓だよ?」
「・・・・三人張り?」
「弦を張るのに、三人が力を合わせて作業する程度の強さの弓の事です。・・・・引いてみますか?」
「ああ・・・・。ふむ、俺では引けないな。ああ、現代では一人で弦が張れるからか」
「そうなのですか。コツがあれば引けますよ、私でも引けますから」
「それだって、ウチの隊じゃちゃんと使える人がいなくて予備になっているのに・・・・」
「三河では、三人張りが使えて一人前と言われていましたから」
鉄砲よりもはるかにスムーズな動きで、三人張りの強弓に矢を番えると、引き絞ってひょうと放つ。僅かに弓なりの弾道を描いた矢は、はるか彼方の木の幹に突き刺さって・・・・よく見ると蛇の頭を貫いているな。
「えええ・・・。それで得意じゃない・・・・!?」
俺もそう思う。それで得意ではないのなら、三河の者はどんだけなんだろうと。こっちのレベルと三河武士のレベルが明らかに違うと分かったな。
「一応聞くけど、綾那はどのくらい引けるの?」
「為朝公の五人張りとまではいきませんが、四人張りくらいまでは使えたかと。当てるのは苦手でしたけど」
「一真様・・・・」
「なんだ?」
「・・・・尾張の兵が弱卒って言われるわけ、何だか分かった気がします」
「俺もそう思う。・・・・あれ?綾那は」
歌夜の弓講座から見ていないが、どこに行ったんだ。
「これを引けばいいですか!」
お、いたいた。けど何してんだ?
「本多様。俺達三人がかりでも動かなかった奴ですよ?もうちょっと人数集めた方がいいんじゃないですか?」
「何かあったか?」
「あ、一真。補給の荷車が戻ってきたんだけど、車輪がぬかるみに取られちゃったの」
確かにハマっているな、でも綾那なら平気じゃないのかな。
「このくらいなら綾那には平気だろうな」
「その通りなのですよ!このくらい、綾那にお任せなのですっ!」
まあ、拠点には鈴々がいるし、小さいけど身長より長い槍持ってるもんな。俺は行けるだろうと判断をして綾那は荷車の梶棒をしっかりと両手で掴むと・・・・。
「ふにゅううううううううううううううううううっ!」
ほらね。綾那が顔を赤くして踏ん張ると、さっきまで動かなかった荷車が・・・・。
「ううううううううううううううううっ!」
「綾那、凄いのー!」
呑気に見学もいいけど、ここは押した方がいいな。
「おいお前ら!綾那を手伝うぞ、押せ押せ!」
「はいっ!みんな、押すよー!」
「了解です!うおおおお・・・!俺達三人でもどうにもならなかったのに!すげえっす本
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